44 キミナリノヤサシサ ページ44
━━バフッッ━━
自分の部屋のベッドにダイブして
ごろんと仰向けになって
天井を見上げる
あの後カズさんは
いつものように私を家まで送ってくれて
「ラーメン食いたくなったら、また連れていってやるから。」
と言い残して帰って行った。
━━カズさんなりの優しさ━━
分かってきた
私が黙っていなくなった時だって
きっとすごく探してくれてたのだろう
でも
そんなことおくびにも出さず
「『両親』と櫻井さんに謝るんだぞ。」なんて言って、私の髪の毛をくしゃくしゃにして帰って行ったし
今日だって
私
相当ひどい顔していて
何かあったって容易に想像出来たのに
それに
急いでいたなんて嘘も
何言ってるんだって問いただすことも出来たはず
なのに
ただ黙ってラーメン屋さんに連れて行ってくれて
「お腹空いてるんでしょ？」なんて
わざと話を反らして
「無理に寄せていかなくていい。」
ってさりげなく励ましてくれたり
「またラーメン連れて行ってやる。」
なんて
きっといつでも話を聞いてやるってことなんだよね。
本当は凄く繊細に
人の気持ちに気付けるのに
あえて
不器用な言葉を選んでる
事故前の『私』は
どこまで気付いていたのかな？
カズさんの『愛情』を。
大切に想ってくれていること
分かっていたのかな？
不意にスマホが鳴り出した
それは
私と櫻井さんのスマホ。
その音はまるで
私が今考えていることを
引き裂くかのように鳴り響く
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作者名：やわらかなあたま | 作成日時：2017年8月29日 16時
