6.静かな君に花束を【No side】 ページ6
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『お待たせ。ごめんね待たせたかな』
野坂「いや、時間より5分早いかな」
『良かった…でも野坂くん早いね』
野坂「そんなことないよ。ほら、早く行こう」
野坂はAの手をさりげなく握ると近くのカフェに入った。
野坂「美味しそうだね」
『野坂くんこのソフトクリーム美味しそうじゃない?』
野坂「あ、ソフトクリームなら水族館に行く駅に美味しい店があるらしいよ」
携帯を見せながら野坂はAに「どう?」と聞いた。
『ほんとだ。美味しそう…じゃあここではサンドイッチにしようかな』
野坂「サンドイッチ好きなの?」
『うん。朝は必ずサンドイッチなんだよ』
野坂「そっか。覚えておくよ」
2人で昼食を食べた後、さっき言っていた駅に向かった。
『意外と歩いたね…』
野坂「大丈夫?疲れたかい」
『ううん!大丈夫』
ソフトクリームのプレーンを買ってベンチに腰かける。
野坂「うん、甘くて美味しいね」
『ね、濃厚…』
食べ終わった後に野坂はトイレに行ってくるとAに告げ、そばを離れた時だった。
あの事故が起きたのは。
電車が脱線。
脱線した車両は線路を外れてAに乗っかるように倒れる。
あのホームにいたのはAだけだった。
病室のベットの傍にはテレビが置いてあり、付けてみるとニュースがやっていた。
この事故はニュースや新聞などで大きく報道されニュースでの人々は「被害が少なくて済んで良かったわね」なんて言う。
ふざけんな、と叫び出したい気持ちを抑え、テレビを消してAの病室に花を生ける野坂。
野坂はあの日デートに誘わなければ、あの時僕がついていれば、と考えるが
いつの間にか「あの時僕も一緒に死んでいれば…」と考えるようになった。
野坂は目に見えてやつれていった。
勉強も部活も手につかず、西蔭に心配をかけていることにも気づかない。
野坂「…」
野坂の中でソフトクリームを食べているAとあの日の静かに倒れたAが少し重なる。
本来白いソフトクリームが真っ赤だ。
野坂「変な色…」
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作者名:青井 | 作成日時:2020年3月27日 1時