仕事~62 ページ14
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大和守「A、一番奥の机の料理まだ食べてない？」
『ん、まだだ』
大和「じゃあ取ってきてあげるよ、ちょっと遠いし」
『！ ありがとう』
燭台切「A！これはもう食べた？僕のイチオシなんだ」
『食べたぞ。美味しくて、私の好きな味だった』
燭「本当かい！？ ありがとう、頑張った甲斐があるよ！」
小夜「…A…あの、一緒に…」
『ああ、一緒に食べよう。これと、これがおすすめだ。
宗三と江雪も呼んでこようか』
小夜「うん…！」
Aのそばには、ひっきりなしに人が寄ってくる。
皆が皆、主の傍にいたくて仕方がないのだ。
薬研「っしゃあ飲むぜ！」
一期「薬研、ほどほどにね」
中にはいつもと違う雰囲気のAにどぎまぎしてしまい、早速お酒を飲もうとする者もちらほらといた。
遠目で薬研を見ていたAは、しかし当の彼に禁酒を言い渡されているため、あの瓶の中身を飲むことはできない。
『ん…？』
何を飲もうかと悩んでいると、少し離れたところにいた大倶利伽羅がこちらに指を向け、クイと曲げたのに気がついた。どうやら自分を呼んでいるらしい。
とことこと近寄り、首を傾げたAに彼はコップを差し出す。
両手で受け取ったそれに、気泡のたくさん浮いた飲み物が注がれた。
『これ、お酒…いいのか？』
大倶利伽羅「ああ」
Aはぱっと顔を明るくした。念のため周囲を確認してからコップに口をつけ、仰いだ。
『んっ？！ 口の中がぱちぱちする…！』
伽羅「…酒の成分の代わりに炭酸が入った飲み物だ。これなら、あんたも飲める」
口に広がる不思議な感覚に、Aはコップを覗き込んだ。
お酒に似ていてもお酒ではない。これなら薬研に叱られることなく飲める。
それにAはお酒よりもこちらのほうが好きだった。甘くて、なのに口の中が弾けて美味しい。
こきゅこきゅと一気に飲み干し、大倶利伽羅にコップを向ける。
『おかわり』
伽羅「…ああ」
Aが気に入ってくれたのが嬉しかったのか、珍しく、彼の口角はわずかに上がっていた。
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作者名：葛の葉 | 作成日時：2019年9月15日 1時
