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仕事~59 ページ11

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Aがお守りの袋口を閉じたところで、ちょうど加州が部屋の外から呼ぶのが聞こえた。





加「A!今からとびっきり可愛くなろ!すでに十分可愛いけど!」


『…うん?』





妻戸が勢いよく開けられたかと思うと、加州が顔を輝かせて立っていた。



その横や後ろに前田、五虎退、乱、獅子王がいて、加州に続き部屋に入る。





前田「色々とお手伝いさせて頂きます」


五虎退「ぼ、僕がお手伝いしても、いいんですか…?」


加州「もちろん。あ、乱と獅子王は髪お願いしていい?」


乱「任せて!」


獅子王「超綺麗にして、驚かせようぜ!」


『え、え…?』





目を丸くしているAに、ずいと加州が近づいた。





加「A、今日誕生日なんでしょ? ここに来てくれた日も今日で、つまり今日の主役はAなの」


『ほう…』


加「主役はお洒落をして、今日を楽しむのが仕事だよ。だから俺たちに大人しくデコられてよね」


『そうか、仕事か』





そうこうしていると、艶やかな焦げ茶色の髪はあっという間に結い上げられ、綺麗に飾りつけられた。



ついでに、と乱がそっと紅を差して、加州たちが満足げに頷く。





加「よし。じゃあ次こっち!」





そう掲げられた物を見て、Aがやや眉根をよせた。





『…加州、その奇怪な服は何だ』


加「奇怪って。まぁちょっとしたパーティードレスみたいな?」


『ぱーてぃーどれす…』


加「俺ら後ろ向いてるから、着れるところまで着てみて。前田と五虎退はAを手伝ってもらえる?」


前田,五虎退「はい!」





Aは受け取ったドレスをしげしげと眺めた。



淡い赤色を基調とした、全体的に柔らかい印象のドレスだ。ひらひらとしたスカートは膝丈で、後ろへ向かうにつれ若干長くなっている。



肩の寒そうな服だなと思ってから、今の気候には丁度良いのかなと自己解決したAは、試行錯誤しながらドレスに袖を通した。





『…着れたのか? これ』


前「あっ、失礼しますね」





前田は一言断ってから、ドレスの袖や後ろの留め具を整えた。





五「Aさま、その、リボンを直してもいいですか…?」


『頼む』





腰に巻かれた細めのリボンが縦結びになっていたのを、五虎退が丁寧に蝶々結びにし直す。





くるりと一周回って、不備がないか再確認した前田と五虎退は、顔を見合わせて頷き、加州たちに声をかけた。



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作者名:葛の葉 | 作成日時:2019年9月15日 1時

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