死神様のお仕事１１【刀剣乱舞】 (ページ10)

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仕事~200 ページ10

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細い雨が降っている西洞院大路(にしのとういんおおじ)を駆け抜ける影は、八つ｡

鶴丸「晟麻の法力を覚えているかい」

息も切らせずに駆けていた鶴丸がふと思い当たって、肩に乗るこんのすけに問う。

こんのすけ「ええ。ですがそれらしい気配は未だ感じません」

加州「もう都を出たのかな」

『あれは仮にも人間で、法力には限りがある。異界の折にも相当消費したはずだ。その残滓を辿るなら、さらに近づかなければならないだろうな』

小狐丸「A様、まもなく二条大路に差しかかります」

小狐丸の言葉を受けて頷く。

十字路に出たところでAたちは一度立ち止まった。

左折すれば大内裏、そのまま北上すれば土御門殿にたどり着く十字路だ。

『乱、青江、長谷部は私と来い。小狐丸と厚、加州は鶴丸とともに土御門殿へ向かってくれ』

鶴「A、何度も言うようだが無茶しないでくれよ？万が一晟麻に出くわしたら、戦わずに逃げるんだ。こいつらと、散じている他の部隊が必ず迎え撃つから」

今いる八名以外に、現在五つの部隊がこの平安京を駆けている。最低限の人数を本丸に残し、ほぼ全員が出陣している状態であった。

『善処しよう…鶴丸』

Aは瞑目し、両手の指先を合わせて霊力に神経を注ぐ。肌を刺すような冷たい風が起こり、次の瞬間、薄い紗(しゃ)のような衣がAを覆っていた。

ほとんど目に見えないそれを脱いで、ふうわりと鶴丸の肩にかける。

『着ていけ。手入れの代わりにもなるし、お前を探すときの標にもなる』

鶴「おぉ…！すごいな、これ…」

腕を通してみると、その衣は鶴丸に合わせて風が操るように形が変わった。

『雨足が弱いうちに中宮を見つけ出すぞ。できれば今日中に土御門殿に返したい』

Aに、全員が力強く頷いた。

そして二手に分かれて、水をはねあげながら都を駆け抜ける。

乱「A、あの衣縫うの疲れないの？」

『コツを掴めば存外簡単だぞ。乱も着るか？』

青江「ふふっ、霊力は温存しておきなよ」

彼らは大内裏の側の大路を北上している。この辺りは有力貴族の屋敷が連なっているが、さすがの雨で人通りはほとんどなかった。それに、路の幅はおよそ十六丈(48メートル)。真ん中を疾走していれば、見咎められることもない。

四人は限界まで神経を研ぎ澄まし、中宮と晟麻、遡行軍の気配を探った。

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