dogs fights＿＿肆 ページ20
『あー、テステス。聞こえてるかァ？』
凛はパソコンに向かって話しかけた。パソコンからは、少しばかり
ニヤリと口角を吊り上げた凛は、コツコツと指で地面を叩いた。
『名乗る程のもんじゃねぇよ。小野凛っつー名前の君のヒーローだぜ』
「……小野」
鏡花は何故凛が��名乗る程ではない��と云ったのに名前を暴露しヒーローなどと宣ったのか疑問であったが、それよりもその苗字に関心を取られた。
小野──黒社会の者なら誰でも知ってる苗字だ。随分とありきたりな苗字だが、この苗字は聞いた瞬間には警戒すべく相手である。
鏡花は「どうして、こんなことを」と訊いた。
『ん？ あー……。まぁ、死ぬのが嫌だからかな』
「──？」
能天気に云われた言葉に、鏡花はまたも首を傾げる。どうしてこの無人機にハッキングして自分と話すことが、彼女が死なない理由につながるのだ？
鏡花は頭を振った。今訊くべきなのはそれではない。
「何。私に何かして欲しいことでもあるの」
『うん？ それはもう判っているだろう？』
当たり前のように疑問を口にされ、困る。彼女は自分のことを何処まで知っているのだろう。今からこの無人機を、あの白鯨に直撃させることまで知っているのか。
凛はけらけらと笑った。先程��死にたくない��と告げた人物とは思えないほどに、無邪気に可笑しそうに笑う。
『私は味方だよ、安心してくれ。ただ君が助かる道を教えたいだけなんだ』
助かる、道？
鏡花は自分の心が揺らぐのを感じた。敦も救えて、私も救える道。そんな道筋があるのか。
そんな、ハッピーエンドが。
『──と思ったけれど、止めておこう。もう君に私の助けは要らないようだ』
こいつマジで何なんだ。
鏡花は無人機を白鯨の方向へと軌道修正しながら思った。凛はそんな鏡花の苛つきを音声越しに感じ取り、また、けらけらと笑う。
凛はただ一つだけ、云いたいことがあった。
『死は美徳でも何でもねえ。己が死んで誰かが救われるなんて思っちゃいけねえ。
──それだけ覚えとけ、前途多難で前途有望で善と悪の区別がつかねえような、クソッタレの人生でもな』
そんだけ覚えときゃ、少なくとも生き抜くことはできるさ。
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次の更新で完結！！！
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白夜の世界(プロフ) - 蒼い鈴さん» コメントありがとう御座います！励みになります、更新速度を一定に保ちつつ頑張ります……。 (2020年3月5日 20時) (
レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
蒼い鈴(プロフ) - 初コメ失礼します！とても面白い作品で、とても楽しく読めました！これからも頑張りすぎず頑張って下さい！ (2020年3月5日 20時) (レス) id: e9945970e1 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 新旧双黒オタク野郎さん» 番外編！！ですねえ、御免なさい、完璧に此方の事情になるのですが、自分は他にも連載中の小説がありそれらと同時並行、というのは流石に厳しいのです……、申し訳ありません。 (2020年2月29日 15時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
新旧双黒オタク野郎 - 番外編をお願いです！！ (2020年2月29日 8時) (レス) id: cab53c1a34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白夜の世界
| 作成日時：2020年1月30日 17時
