みえないモノをみる。 【文スト】

敵と己＿＿伍 ページ45

その後、ポオ君と別れた私はまた部屋の開閉を繰り返していた。

そして出会った彼女。



「……っわ！ ……わた、私、ルイ、ルイ―ザ、」

『わああ無理しなくて大丈夫だよ！ 大丈夫だから！ ルイ―ザ・メイ・オルコットちゃんでしょ？』

「……！ は、はい！」



真っ赤な顔で何度もコクコクと頷くルイ―ザちゃんは本当に可愛い。もう尊いレベル、というか崇められるレベルで可愛い。

さっき逢ったんだけどなー、と思いつつ苦笑いする。逃げられるのには慣れてるが、それが好きという訳じゃない。いやまあそれで傷付くような柔な心してねえけど。



『お願いがあるんだ、君のその書類──見せてくれない？』

「！ そ、それは」

『だーいじょぶ、フィッツジェラルドから閲覧許可は出てる』



私が指した書類は勿論、組合のこれからの活動方法である。先にこれを見ておけば組合の情報は丸わかり、私が如何いう風に動けばいいか悩む必要もない。

ちなみに閲覧許可うんちゃらは嘘である。



「で、ですが……！」

『……うーん。なるべく可愛い子には手ェ出したくないからさ、頼むから見せて欲しいんだよ』



少し脅すようにそう云えば、ルイ―ザちゃんはビクッと肩を跳ねさせた。


──あ、これは逆効果だったか。


先程よりも、ほんの少しだけ雰囲気が強くなったルイ―ザちゃん。書類と私の間に立ち、無言で此方を睨む。あー、自分の命は如何でもよくて守りたい人が居る時は強くなんのね。

苦手なタイプ〜……。



「だ、駄目です……！ 本当にフィッツジェラルド様から許可を貰ったと云うなら、あの人を此処へ連れて来て下さい……！」



私はルイ―ザちゃんを困った目で見た。如何すっかなこれ。頭をガジガジと掻くも、状況は何も好転しない。

……はぁ、と少し大きな溜め息を吐いた。



『じゃあ──君自身は如何なっても構わないのかな』

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