みえないモノをみる。 【文スト】

ちょっと罪悪感＿＿壱 ページ39

翌日私が探偵社へ向かうと、その道すがら妙なものを見た。ビルが丸ごとぽっかり無くなっているのだ。ワオ不思議。嘘全然思ってない。

これも組合の仕業か、と私は若干の罪悪感を持ちつつその場を去った。


そして探偵社に着くと……、如何やら、賢治君が組合の手にかかったらしい。



「まだ確定はしていないけどね。ほぼそう考えていいだろう」

『マージーでー……？』



太宰はこく、と肯いた。その他にもあっくん、ナオミちゃん、潤君、独歩の姿が無かった。

うわあ……何か……凄いその、御免なさい……。



「……？ 何、如何したの。顔色悪い気がするけど」

『いや……、いやねえ。ちょっとあの、できれば誰にも云わないで欲しいんだけど』

「大丈夫、約束するよ」



太宰はニコニコして、さり気無く私の肩を抱き逃げられないようにしながら云った。御免云ってることとやってること違う気がする。



「で？ 何？」

『いやですね……、その、あの組合(ギルド)の団長居るじゃないですか』

「うんうん、それで？」

『あのね？ それで……その、金髪成金野郎はですね、えっと……』

「うふふ、なぁに？早く云ってくれないかなあ」



段々声が低くなり、肩を掴む力が強くなっている。ヒィ恐いんですけどこの人。

うん、あのね。うーんとね。平たく云えばね。



『そいつは私が依頼断った奴なんです』


「……は？」




太宰の目が点になる。



「……は？ 何？ ……えっ、こんだけ焦らさせといてそんだけ？」

『そんだけとか云うなよ今めちゃくちゃ頑張ったんだぞ』



太宰は数秒私を見つめたかと思うと、私の額に容赦ないデコピンを喰らわせた。『ごはっ』と呻き声を上げながら私は倒れる。いって、痛ったあ！！

暴力反対ー！ と涙目で太宰を非難すれば、生塵(なまゴミ)を見るかのような冷徹な視線を向けられた。おっとお素が出てますぜえ太宰。



「君の所為で凄く無駄な時間を浪費した。早く何処かに行ってくれたまえ」

『ひでえ』



扱いが酷過ぎて草。

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