みえないモノをみる。 【文スト】

私の時間＿＿弐 ページ38

んん、と私は軽く伸びをした。ブルーライトカットの眼鏡の縁を無意識になぞる。



……何ともまあ、色々あったものだ。

此処五年間、少しくらいは横浜の治安も良くなってるかなと思っていた。



全然そんな事無かった。余裕で事件満載だった。



警察関係で大きな事件は、矢張り蒼の使徒事件。どうやら独歩と新人だった太宰が解決したらしい。凄いな。


後は、色々と探偵社の新人の過去も調べといた。何かの表紙に地雷踏んじゃったりしたら嫌だし、まあ後は……ね。




面白そうだったのは賢治君だ。彼はなんと、あの知る人ぞ知るイートハーヴォ村出身だったのである。

イートハ―ヴォ村とは、ド田舎中のド田舎である。寧ろ日本にこんなトコあったの!? レベルの。そこでは何でもかんでも自給自足。

そしてその古風極まる風習の所為で、村の人は皆化け物である。平均寿命百歳越えらしい。慥か願うと必ず雨を降らせられる人間も居るのだそう。天〇の子の逆ヴァージョンかよ。




それと敦君。どうやら彼は外国の組織がご執心の異能らしく……狙っているヤツに私の知り合いも居た。何してんだ彼奴。

彼は孤児院の出だ。其処は苛烈極まる虐待が存在した孤児院で、敦君は特に酷かったらしい。

だがしかし、どうも院長の行動が解せない。


敦君は、過去に人を一人殺している。


そしてそれに箝口令を敷いたのが、この院長。一体何故？



『全く……人の機微は判らないな』



嘆息する。ああ本当に、判らない。

……そういえば、どうやらこの地に組合(ギルド)が襲撃してくるらしい。あれ、もうされたんだっけ？


詳しい事は判らないが、調べてみよう。


私は自分の好奇心を埋める為に、再度パソコンの画面へと身を乗り出した。










そして私の叫び声が響き渡った。




『此奴、私が依頼断った奴じゃねーーか！！』

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