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鍵子がAさんにお腹を見せる瞬間を偶然目にした

気難しい鍵子がおなかを見せるなんて

相当信頼できる人物ってことだろう


本人に聞いたわけじゃないけど

Aさんはたぶん猫が苦手だと思う

今はずいぶん慣れたみたいだけど(笑)


最初の頃はこわごわ触っているのがよくわかったし

直接猫とふれあう仕事より洗濯や掃除などの

雑用を選んでやってる感じだった


ここに来る人はみんな猫が好きで集まっているから

他の人とは違うAさんの様子はよく目立つ


コツをつかんだのか最近は直接猫に関わってるし

猫を人のように尊重しているのもすごいと思う

小さい生き物だからつい赤ちゃんのように接したり

馬鹿にした態度を取ってしまう人も居るけど

鍵子をはじめみんなに「さん」とか「君」をつけて呼んで

人間と同じように接している



最初はAさんを馬鹿にしていたみたいだった鍵子も

今ではスタッフのなかで俺の次にAさんのことが好きだと思う

きっとAさんのそばは居心地がいいのだろう

よくすり寄ったり、ちょっかいをかけに行ったりしてる


俺がいないときは気難しい鍵子のお世話が大変そうだったから

Aさんがいてくれて俺も安心できる


「あ...鍵子!」

ソヒも鍵子の変化に気づいた
ソヒも猫が好きだ

「ウォヌ、Aさんすごいね!」
「ああ」

ソヒは何度もここに来ているから鍵子のこともよく知っていた

人のことなのに本当にうれしそうに話すソヒ
そういうところ 変わってないね

つらいこともたくさんあったはずなのに
いいところはちっとも変わらないのか

俺は 変わったかな?
昔よりいい人になれてたらいいな

不思議そうに鍵子のお腹をなでていたAさんが
ちらっと俺を見た

俺は親指を立てた

すごいね、鍵子に認められたんだよ と伝えたかった

照れくさそうに笑い頭をペコッと下げてAさんはまた鍵子のお腹に目を戻す

そして次はソヒと俺を代わる代わる見ている

さっきナラさんが俺とソヒについてAさんと話してたな

何を吹き込まれたか知らないが

変なこと考えてなきゃいいけど・・・

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作者名:miel | 作成日時:2021年11月26日 9時

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