あなたの名前 ページ26
黒い雲が近づいてきていて
遠くで小さく雷の音がする
子どもの頃から苦手な雷。
今も苦手だから、体が硬くなる
来ないでほしいと思うと近づいてくるのかな？
雷の音も大きくなってきた。
「大丈夫だよ。僕が一緒にいる」
力強く手を握ってくれるジスさん。
わかってるけど、怖いものは怖い。
閃光にびっくりしてしゃがんだ私。
一緒にしゃがんだジスさんが
私の耳を両手でふさいでくれた。
大きな雷の音が少し小さく聞こえる
ジスさんの顔を見るとふにゃっと笑ってる。
「僕がいるから、大丈夫だよ」
うなづくとジスさんの顔が近づいてきて…
私は目を閉じた
ジスさんの唇がおでこに触れる。
優しいあたたかさを感じながら
私の頭の中ではものすごいスピードで
記憶が逆回転して――――
５年生のサマーキャンプのあの日がよみがえる。
ひまわりの迷路で
迷った私を探しに来てくれた
リーダーの…
『シュアくん！』
思わず叫んで目を開けたらジスさんが笑ってた。
「やっと思い出した？」
ジスさんが…シュアくん
来年も会おうって約束したのに
それきりになっていたんだよね。
『約束・・・』
「いいんだ、思い出してくれたから…会いたかったよ」
ジスさんの手が私の頬を優しく包んで
もう一度おでこにキスをした。
だから、あなたといると懐かしかったんだね。
思い出したよ、シュアくん
私も会いたかった
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作者名：miel | 作成日時：2018年5月14日 20時
