九尾狐がブラック本丸に行きました (ページ12)

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11話ページ12

「大和守の旦那…まさか大将をっ！」
審神者部屋から出てきた安定を目撃した薬研は即座に戦闘体形に入る
「違う！いや、元はそうだけど！今は違うんだ！」
慌てて誤解を解こうとする安定
「確かに新しい審神者を殺そうとはしたけどさ、なんか薬の量間違えたらしくて死にかけててさ……なんだろ…殺せなかった…」
俯きながら言う安定に何かを察した薬研は警戒を解き安定に話す
「そうか、で、大将の状態は？」
「薬を吐き出させて、今から水を持ってこようとした所だよ」
「水か…吐いたばっかなら白湯の方が体に負担がないからそっちにしろ」
「わかった」

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体がだるくて動かない…
先ほど来た新選組のような青年が来てくれなければ多分私は死んで居たかもしれない
こんな身体の弱い自分に嫌気が刺す
いつも足でまといで、戦闘はそこそこできるが肝心なところで倒れてしまう
ハル様やサクラ様の神気を分けてもらわないと直ぐに病態が悪化してしまう
嫌だなこんな自分…
もういっその事……
さつきの青年には悪いけれど…
「弱くてごめんなさい…ハル様…サクラ様…」
私は薬をできるだけ多く取り出し
一気に口の中へ流し込む…

その時だった……

「何をしているのだ？主殿」

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夜、何やら審神者部屋の辺りが煩いので
覗いて見ると、薬研と安定が何やら話していた
どうやら主が誤って薬の量を飲み間違え死にかけていた所を安定が助けたようだ
2人は白湯を取りに厨房へ
主殿を1人にするなんて…まだまだ子供だな…主は弱っているのだから誰か一緒に居てやらんと
審神者部屋の前に立った三日月は消えるようなつぶやきを聞いてしまった
「弱くてごめんなさい………ハル様……サクラ様」
嫌な予感がする
急いで審神者部屋の中に入ると、異常な量の薬を手にした雪姫の姿が
その手を口元に近づけた時やっと声が出た
「何をやっているんだ主殿」
「みか…づ…き……」
ぽろぽろと涙を零しながらこちらを見る雪姫
身体だけではなく心も弱っていたのか…
そっと彼女を抱きしめる
「主殿は決して弱くはない、俺が主を切ってしまった時泣きもせず、俺を怖がりもせず真っ直ぐな目で見てくれたでは無いか」
ぎゅっと強く抱きしめるとそれに答えるかのように、雪姫も弱いけど強く抱きしめかえしたのだった