91.ハンター試験の出立 ページ46
.
「そうか……。じゃ、そこで気まずそうなカオしてるAにでも聞いたら？」
「え？」
突然こちらに話が飛んできて、思わず腑抜けた声を出してしまう。
Aに聞いたらって、キルの行きそうな場所を私がゴン君達に教えるってこと？
行きそうな場所……あの状況から鑑みるに、家……かな？
それにしてもイル兄、もう私のことを隠すつもり全くないのね……
「A……？ 気まずそうな顔してるって、そんなのスィスくらいしか……」
私とイル兄との会話を聞いていたクラピカさん達と違い、何も知らないゴン君はAという名前が一体誰のものなのかわからないようできょろきょろと周りを見回している。
そんな彼とばっちり目が合ったその時、思わず視線をそらしたけれど、ふと思い直す。
……ここまできてしまったんだ。もう、隠す必要も理由もない。
「――わかったよイル兄。あとは私が」
「うん。頼むよA」
どうしてキルを家に引き留めたいイル兄がわざわざゴン君達にチャンスを与えるのかはわからないが、キルのためにもちゃんとやらないとね。
……あ。
そうだ。一つ、確認しないと。
「イル兄……もう、いいんだね？」
言葉足らずにそう問うと、彼はこくりと頷いた。
私はそれを確認してすぐにゴン君達の前にすたすたと歩み寄り、軽く押しながら三人を出口の方へ歩かせる。
「す、スィス……いや……A？ なにを……」
当たり前っちゃ当たり前だが、三人とも困惑しているようだ。
クラピカさんの珍しく不安げな声がそれを裏付ける。
「大丈夫です、キルの行った場所にはちゃんと案内します」
できるだけ柔らかい声で言いつつ廊下に出た。三人の背中から手を放し、前に回り込む。
未だに頭の上にはてなマークを浮かべているゴン君、神妙な顔で私を見つめるレオリオさんとクラピカさん。
そんな三人の顔を一瞥し、ついてきてください、と私は再び歩き始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 361人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くぅつか(プロフ) - キラさん» コメントありがとうございます！ 更新本当に遅くなりますがそれでも良ければお付き合いください！ (2019年1月3日 18時) (
レス) id: d6e249ddc4 (このIDを非表示/違反報告)
キラ(プロフ) - とっても面白いです！！とても続きが気になります！更新されるのを楽しみに待ってます！頑張ってください！！ (2019年1月3日 15時) (レス) id: 4b08e8e764 (このIDを非表示/違反報告)
くぅつか(プロフ) - C＠音さん» コメントありがとうございます！ そう言っていただけて嬉しいです、更新できる限り頑張ります！ (2018年8月31日 22時) (レス) id: d6e249ddc4 (このIDを非表示/違反報告)
C＠音 - はじめまして！一気読みしましたが続きがきになって仕方ありません！更新頑張ってください！ (2018年8月29日 14時) (レス) id: ce7a2e00eb (このIDを非表示/違反報告)
くぅつか(プロフ) - 月翔×ミオさん» コメントありがとうございます、励みになります！ これからも頑張ります〜 (2018年8月23日 22時) (レス) id: d6e249ddc4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くぅつか | 作成日時：2017年10月5日 18時
