41話 ページ42
キシキシ、と軽く音を立てながら廊下を3人で歩く。
ぁ、と思い出したのは宗三と小夜の事。起きてるかどうかは知らないが、彼ら二人だけにご飯を上げないのも良くは無いだろう。
「先行っててくれるかい?宗三と小夜にご飯いるかどうか聞いてから向かうよ……ちょっと、その疑わしい目はなンだい」
「…イヤ、亀甲の事治しに行くのではないかと思うてな。主の事だ、やりかねない」
遂には小烏丸にも疑われる始末、はァ、と溜息を吐いてはその心算は無い、と意思表示の為に首を振った
「しないさ、約束する。ただ宗三と小夜の様子を見てくるだけだから、ね?」
「…絶対、だからな」
念を押す日本号を軽くあしらっては進んだ廊下を戻って歩った。
手入れ部屋のある一室。洋室ではなく本丸は全面和室だ。ノックするには似合わない。だから
「宗三、入っても大丈夫かい」
と、声をかけるに限る。
数拍おいて、「どうぞ」と声が聞こえた。
ゆっくりと控えめに障子戸を開けては、一歩だけ中に入り、その場に正座をする。まだ大人しく寝ている小夜の表情を見つめながら。
小夜は元々の性格警戒心が高い方だ。あンな事があってはその警戒心も格段に高くなっている事だろう。もし、此処に留まるッてことになった場合、小夜と仲良くなれるのは随分と先になっちまうかもねェ……
「お小夜は、まだ起きてません。……僕は、お小夜が起きたら、話し合ってこれからを決めるつもりです。もし、此処に留まる事になッたら…その時は…」
「その時は、勿論歓迎してやるさ。…ぁ、唯…此処に配属されて短くてね、まだ血気盛んで殺そうと襲ってくる奴らは多いから、気をつけるこったねェ」
特に、最近怖いのは挨拶の時あんなにバチバチだったのに今は鳴りを潜めてる三条の三日月辺り。刀剣の中でも彼は棟梁を務めるだろう
この子達に危害が及びそうな物なら何とかして守る心算ではあるが…ね。
「そうだ、此処には僕達の兄……江雪左文字は、いるんです?」
「此処にいる刀剣は基本的にレア物ばかりだ。あたしゃまだ会えてないが、いるねェ。小夜が起きたら会いに行ってやりな。多分、アンタ達あいてにゃ荒ぶらないだろうさ。江雪は元々争い事、嫌いだからねェ」
目線は二人とも小夜に。お互いはお互いに目線を合わせない。最初はあんなに警戒していた宗三が、隣に座っても大丈夫な程に心を許してくれたことが嬉しかった
「そうそう、ご飯、食べるだろ?」
「……戴きます」
256人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ガーベラ - はじめまして!課長様、姉貴肌ですね〜。こんなお姉ちゃん欲しかったな〜。続き楽しみにしています!これからも更新頑張ってください! (2020年11月28日 20時) (レス) id: cdc708129e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:病蛟 | 作成日時:2020年7月12日 17時