34話 ページ35
審神者が出してきたのは懐刀。その切先をアタシに向けて振り下ろそうとしている。…かなり強く、地面に叩きつけたつもりなんだが……どうして動ける…?
ッと、そんな事考えてる場合じゃあないが…!
後退したら宗三達にぶつかる、かと言って横によけても宗三達が危険だ。
避けることは難しいから…なんとか、刃を掴めないだろうか。
アタシの利き手は右手…左手で掴めば今後の業務に支障は出ないだろう。まぁ……確かに片手で刀を振るうことは難しいだろうが…!
「おい、手前よォ」
その瞬間響き渡る女のドスの聞いた声、そして目の前の審神者の持っていた刀が地面に叩き落とされた。
「どの立場で、課長に手ェ出してんだよ。今すぐその汚ねぇ面を課長の前から下げろ…胴体切り裂かれてェか?」
審神者に向けられるのは怒声と大薙刀の切先。……そう、大薙刀。
「ハァ……こればっかりは、助かったさね。感謝しとくよ」
「…ッへ?え!?ええええ!?あの課長が私を褒めたっ!ごこきゅんッ課長に褒めてもらえたよぉ〜ッ!」
「は、はいッ…そうですね…えへへ…」
部下が、審神者の懐刀を叩き落としたのだ。わしゃわしゃと五虎退を撫で回してはすりすりと甘やかすように抱きしめる。
流石に今回は明石の一件以来、肝っ玉が冷えたもんだ。スーツについた砂埃を払って立ち上がる。今度こそ、ときちんと縄で縛り上げてから梯子屋に渡した。
梯子屋、とは政府からの言伝を伝える役割…の他、監活課の審神者回収も請け負っている部署。部下の豹変様に驚いてはビクビクしながらも審神者を連れて行っていた。
部下達はここまで、と言うことで別れてから。日本号と博多にはお金を預けてさっきの品を買ってくる様に命じた。
宗三と小夜がいる中、連れ出すのも悪いしねェ。
アタシたちは一足先に本丸に戻って、まずは手入れからする事にした。
「そんじゃ、日本号、博多。アタシゃ先に戻って手入れをするから。お酒とか諸々買ったら…寄り道せずに、戻ってくるんだよ。」
「おう、分かってるぜ。アンタも気をつけろよ」
「心得たばい!ちゃあんと、早く戻ると」
二人が万屋に入っていくのを見届けてから、左文字二人に向き直った。痛々しい傷か目立つ。服もボロボロだし、小夜は…歩くのすらキツイだろう。
「…じゃあ、今から本丸に向かうわけ、だが…。小夜は、アタシがおぶっていくかい?」
「いえ、結構です……得体の知れない貴方にお小夜は任せられませんから」
むぅ…確かに
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ガーベラ - はじめまして!課長様、姉貴肌ですね〜。こんなお姉ちゃん欲しかったな〜。続き楽しみにしています!これからも更新頑張ってください! (2020年11月28日 20時) (レス) id: cdc708129e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病蛟 | 作成日時:2020年7月12日 17時