33話 ページ34
こりゃ酷い。
流石の私も、部下も、思わず息を呑んだ。沢山のブラック本丸を見て、裁きを与えてきた。…が、大分悪趣味なもンだ…
そこにいたのはボロボロになった小夜を庇うようにして覆い被さっている(此方も小夜に負けず劣らずボロボロな)宗三。
…と、恐ろしい形相でその二人を睨んでいる審神者だった。ゼェゼェ、と肩で息をし、手を強く握りしめている。
見れば、宗左の頬は赤く腫れていた。
殴ったか…にしても珍しいねェ、こんな公共の場で刀剣に暴力を振るうなど。
周りのことなどどうでも良くなるくらい、怒るポイントがあったのか否か…何方にせよ、此奴は
“捕縛対象”だ。
審神者が手を振り上げた瞬間にアタシはその間に割って入る。部下は大薙刀を構えて警戒体勢。
私は審神者の振り上げられた腕を掴んでは取り敢えず背負い投げを決めた。
ドスっ…と重たい音が辺りに響き渡り、聞こえるのは審神者の呻き声。かなり強めに叩き落としたからしばらくの間は辛いだろうねェ…
さて、と。
それじゃあこの場で今一番やるべき事は……
アタシはもう政府上層部に繋がるような番号は使えないだろう。つくづく面倒臭いな…
しょうがない、部下に政府の梯子屋に連絡をつけてもらってこいつの回収を済ませるか…。
「いいかい、アンタと五虎退は梯子屋に連絡つけて、こいつの回収を済ませとくれ。一応、しばらくの間は痛みで動けないとは思うが…まぁ、念のため縄かなんかで縛っておいて。
アタシは……こっちを何とかする」
「はーいッ!」
テキパキと指示を出して、部下から元気のいい返事をもらったところで刀剣に向き直った。
宗三左文字。小夜を守るようにしながら、猫のように此方を威嚇する様は本当にお小夜が大事なんだと思い知らされるモンだ。
あまり下手に突っ込まず…せめて、治療さえできればいい。
うちで引き取ることも可能っちゃ可能だが、コイツらの了承がなきゃあ無理だからねェ?
目線を合わせるようにしゃがんでは
「宗三、小夜。この審神者は捕縛対象だ、アンタらがこれからどうするか、ってのはアンタ達の勝手だが…まず、手入れをさせてはくれないかい?」
そう、静かに告げた
宗三の威嚇の姿勢は変わらないが後ろで呻き声を上げる小夜と、自身の痛みからか手入れの了承を得ることはできた
その事に安心して
「お前…私の道具に、触ンなよ!!」
「課長様…ッ後ろ!」
油断していた
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ガーベラ - はじめまして!課長様、姉貴肌ですね〜。こんなお姉ちゃん欲しかったな〜。続き楽しみにしています!これからも更新頑張ってください! (2020年11月28日 20時) (レス) id: cdc708129e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病蛟 | 作成日時:2020年7月12日 17時