怪盗、歌姫、ミュージカル【怪盗キッド/黒羽快斗】

5 嫉妬、困惑、公開練習1 ページ5

そんなわけでミュージカルの練習が始まった。
やっぱり春田さんはとっても紳士だった。キッドが言っていたような事は全然なくてというか寧ろときめきすら覚える素敵な空気感。練習とわかっていてもテンションが上がってしまう。
ほらね、やっぱり心配しすぎだった。そんな事を考えていると───



「公開練習、ですか」
練習がある程度進み、通しが出来るようになった所で監督から身内だけを呼んだ公開練習を行うと通達があったらしい。私はそれを春田さんから聞く。
「ああ、そうらしい。身内だけだから、家族とか仲のいい人とか……そういう人を招待するといいって」
「なるほど、それなら私は友達を呼ぼうかな……」
蘭に園子、後蘭のところにいるコナンくん。青子ちゃんに快斗くん……呼ぶメンバーとしてはこの辺りか。お父さんは相変わらず帰ってこないというか今は海外任務に行ってしまっている、多分難しいだろう。そう呟くと、春田さんも横で頷く。
「僕も友人かな。同じ俳優仲間とか、その辺」
「わ、それはなんか豪華そうですね！？」
春田さんの俳優仲間。仲が良いとされて一緒にテレビに出ているメンバーなら凄いことになりそうだと思うと、春田さんはふっと笑みを浮かべる。
「ああ、きっと豪華って言われるメンバーだと思う。また紹介するからAちゃんの友達も紹介してよ」
「はい！勿論です」
そう言って笑うと春田さんも笑みを返してくれる。ああ、素敵だなあ。紳士だ。この前のキッドとはえらい違いだと思っているとキスされた時の事を思い出して慌てて首を振る。

ほんと、春田さんは死ぬほど紳士だと次会ったら懇々と言わなくちゃ。キッドと違って。



「公開練習！？青子と快斗も行っていいの！？」
「うん、他の友達も誘ってるんだけどよかったら一緒にどうかな？」
「勿論行く！！！快斗もいくでしょ？？」
「Aが来て欲しいって言うならな？」
「勿論。来て欲しいって思ってなかったら誘わないよ」
「仕方ねーな。じゃあ行ってやるよ」
「こら快斗！！こんな機会早々ないんだからね！こっちがお願いする側でしょ！もう、Aちゃんごめんね、いつもこんなんで」
練習終わり、いつものファミレス。青子ちゃんと快斗くんとご飯を食べる時はいつもここだ。
二人とご飯を食べながら公開練習に誘うと、いつも通りなやり取りで2人が了承してくれる。私は楽しげにくすくすと笑った。
「相変わらず仲がいいんだから。2人も来てくれるなら練習でも張り切らないとね？」

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