届かぬ想いを秘めて、貴方に捧ぐ愛の唄。

第７話:谷崎兄妹。 ページ7

「ふふん」

現在＿＿＿＿＿電車。

茶髪の青年と、その青年の腕に
抱き着く少女。

二人は、Aの席の目の前に
座っていた。

「あ、あの〜...」

Aがのそりと手を上げると、
茶髪の青年はにこりと笑みを浮かべ
「どうしたの？」と問う。

「貴女方は...」

「あぁ、自己紹介が未だだったね
僕は谷崎潤一郎です。
こっちは妹の｣

「ナオミですわ。
どうぞ宜しくお願いします」

「あ、AAです。
宜しくお願いします」

ペコリと一礼し、尋ねる。

「お二人はどうして同行を？」

「確かAちゃんは、
ポートマフィアに狙われてるんだよね？
だったら、幾ら戦闘系の異能力を
持っている二人でも、少し心配だから」

「それに！
Aさんのお洋服選びの
お手伝いをしたいと思いましたの！」

「そうなんですか。
何だかすみません。
私のせいで...」

「ううん。困っている人がいたら、
助けないといけないと思うし」

敦が頬を掻きながら言う。
鏡花も頷く。

「...ありがとう」

車内にアナウンスが響き、停車する。

「さ、行きましょう」

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「AさんAさん！
こちらもどうぞ、
きっとお似合いだと思います｣

Aは、次々とナオミに
試着を薦められ、
かれこれ三時間も店内に
引きこもっている状態。

谷崎兄と言えば、

「...」

無言でシャッターチャンスを待っている。
目を輝かせて。

「わ、分かりました...」

して、会計を済ませたのは
この一時間も後の事だった。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。

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