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第2話:一杯の茶漬け。 ページ2

_____一杯の茶漬け。

梅干しに刻み海苔。
それに夕げの残りの鶏肉。

そいつを熱い白湯に浮かべ、
塩昆布と一緒に掻き込む。

旨かったな...孤児院の台所で、
一目を忍んで食った茶漬けは。

一人、白髪の少年は
ある河辺でぼんやりとしていた。

膝をつき、地面に倒れる。

「う"...
駄目だ、腹減って死ぬ...」

僕の名前は敦。
故あって、餓死寸前です...

倒れる敦の上を、
電車がレールを辿って走る。

孤児院を追い出され、
食べるところも寝るところもなく、

勿論金もなく、

かといって盗みを働く
度胸もなく、

こんなところまで来てしまった。

敦は、地面に拳をぶつけ、
ぐっと重い体を持ち上げる。

しかし、

もはや生きたければ、
盗むか、奪うしかない!

「出て行け、穀潰し!」

「お前など、この孤児院にも要らぬ」

「どこぞで野垂れ死ぬのが
世間様の為よ」

「天下の何処にも、
お前の居場所などありはせん」

敦が立ち上がる

「五月蠅い...
五月蠅い、
五月蠅い、五月蠅い、

五月蠅ぁぁい!!」

腹の底から声を出す。

「野垂れ死ねだと...
僕は死なないぞ、絶対に」

敦は、拳を握り、
一人言に決意を秘める。

「何としても生き延びてやる!
よし、次に通りかかったやつを
襲って、そいつから金品を奪ってやる」

敦が耳を澄ます。
後ろの道から音が聞こえた。

ばっと振り返る。

_____ブゥゥンッ

バイクの音だ。
あっという間に通り抜けていった。

「流石にこれは無理だ。
空腹じゃ追い付けない...」

諦めて次を待つ。

「次!」

通りかかったのは
訓練中の軍警達。

「と、トレーニング中の
軍警が財布を持っているとは思えない」

「次!」

後ろを向くと_____

河から足が流れてきた。
人の足。

ピクピクとつま先が動いている。

「こ、これは流石に
ノーカンでしょ」

人がプカプカと回りながら
流されていく。

「ノーカンにさせて下さい...」

「の、ノーカンにぃぃぃ!
えーい!」

敦は、決意を決めて河に
飛び込んだ。

_______________
___________
________。

これもまた、"過去"の話。

敦と太宰が出会う、
そして、敦が武装探偵社の
一員となるのは、
このあとの話。

第3話:太宰治。→←第1話:脱出。



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設定タグ:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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緑野アリス(プロフ) - 粋さん» コメントありがとうございます!これからも精一杯頑張らせて頂きます! (2018年6月27日 19時) (レス) id: 1ea7b4cf06 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とてもこの作品好きです!夢主ちゃんもとても可愛いです。更新頑張ってください! (2018年6月27日 19時) (レス) id: 232d77c3ac (このIDを非表示/違反報告)
緑野アリス(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます!これからも精一杯頑張らせて頂きます! (2018年6月12日 20時) (レス) id: 1ea7b4cf06 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - はじめまして!さくらと言います!このお話とても面白いです(*^^*)これからも頑張ってください!応援してます!このお話大好きです(*^^*)出来たらコメント返してくれると嬉しいです!!!おこがましくてすみませんスライディング土下座 (2018年6月12日 20時) (レス) id: 05de94b2f8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:緑野アリス | 作成日時:2018年6月12日 17時

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