緑間真太郎は恋にも鈍感 (ページ7)

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6話ページ7

夏休みの課題を手伝ってもらうために何回か2人の家に遊びに行った。

ゲームしたり、勉強したり、私が料理作ってみたり

11月の終わりには和くんはお家を出て行くみたいで、本当に多分私が遊びに行けるのは最後だった

私が物心ついた頃から一緒に遊んでもらっていた和くんとの別れのようなものにすごく悲しくなって

なんとなく胸にぽっかり穴が空いたような感覚だった

当たり前だった毎日は、当たり前じゃなかったんだなぁなんてカッコつけたことを思って

あの日から真ちゃんではなく先生という存在になってしまった

私が見れるのは学校での真ちゃんだけ

大好きって気持ちは消えないのに、思い出だけどんどん消えていくのに耐えられなかった

季節は流れて11月

もう家に行っても和くんはいないし、私が真ちゃんの家に行ったらそれはもう先生と生徒になってしまう

夏休みが終わった後の2ヶ月間、真ちゃんとの距離は開く一方だった

「失礼しました」

ガラガラと音を立てて立て付けの悪いドアをパシャリと閉めた

他の先生に課題を提出しなければいけなくて、それを出すために職員室まで来た

たまに目で探してしまうけれど、真ちゃんの姿は職員室になかった

やっと長かった課題を提出し終わって少し体が楽になって、大きなため息をついてまた足を踏み出すと

頭上から大好きな声が降ってきて

「高尾、ずいぶん大きなため息だな」

その声に顔を上げる前に心臓はすでにその声の主に気がついて騒いでいた

「あー、緑間先生、、うん、道のり長かった課題やっと終わったからさ」

頭をかきながらそう答えると、先生は「久しぶりに喋ったような気がするな」と私に優しく笑った

あぁ、この感じは先生じゃない、真ちゃんだ

「学校じゃあんまり喋んないもんね」

私が、職員室の近くだし、あんまり見られたら悪いんじゃないかなんて思ったりして少し距離を置きながら下を向いて声を出すと、真ちゃんは「そうだな、お前が熱心に授業聞いてる姿はいつも見てるんだがな」とまた優しく笑った

なんで、そういうこと、ばっか、、。

他の生徒にもしてるんでしょ

なんで、私をそうやって…。

「んあー、でも、最近あんまり成績良くないの」

私は目も合わせないまま力なくつぶやいた

真ちゃんは「そうか」とつぶやいてきて

「また教えて欲しかったらいつでも連絡よこすのだよ」と笑った

ほんと、バカみたい。