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45話 ページ46

ガタガタと歪つな線路の音が私達の体を揺らして
休日の昼間だというのに関係なくいい具合に混んだ涼しい車内で肩を並べている

隣に座る彼は今日物販で受け取るだけのグッズの画像を見ながら私に熱弁していて

そんな彼の話を聞くのは不思議と嫌じゃなかった

「高尾はさ、何のグループ好きなの?」


急に振られた彼の話に驚きつつ、わたしが好きなバンド名を口にすると
彼は嬉しそうな顔で有名な曲のフレーズを歌った

「そうそう!!いいよね」

思わずわたしも食い気味に話を割って入り、彼も幸せそうな笑顔を見せる

そして一通り推しバンドの話で盛り上がった頃に、彼は少し遠い目をして口を開いた

「俺さ、大学生になったらバンド組んで、そんでプロ目指すんだ」

そう口にした彼の目は憧れの光に満ちていて、彼ならもしかしたら本当にかなえてしまうかもな、と思わせるほどだった

「すご、応援してる!」

わたしもそんな彼を応援したくなって、そんな言葉を口にすると
彼は少し照れ臭そうに笑いながら「そしたらライブ、呼ぶね」と呟いた

わたしがその言葉に素直に頷くと
彼は大学の話をし始めて
「俺、仲良い先輩結構たくさんいてさ、」

「○○大学行きたいんだ」
わたしの方を見て大学名を口にする

その大学は頭がいいけど少し柄が悪くて有名で
わたしはある意味偏見を持ってしまったけど
でも彼が行きたいというのだから応援しなければな、と言葉を飲み込んで

「結構偏差値高くない?」と彼の顔を覗き込んだ

「そうなんだよね、」とつぶやく彼はまた少し難しい顔をして

「んでも、…大学生になっても、Aの横にいられたらなって思うよ」

そう言い終えたと同時にわたしの方を向いた



A



突然口にしたわたしの名前に一瞬戸惑ってしまって

何故だか嬉しいはずのその言葉に心臓が大きく鳴り響き


恋のせいだと言い聞かせた

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M - 安定の面白さ。黄瀬じゃないのに、、、今まで緑間普通だと思ってたのに、、、今日、りんさんが書いてくれる緑間に惚れましたw更新頑張ってください! (2020年12月6日 14時) (レス) id: 5e52fa6283 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りん | 作成日時:2020年12月6日 10時

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