体育科の先生の恋愛事情【ハ イ キ ュ ー】

lesson…3 ページ3

☆




｢お疲れ〜｣




ジョッキがコツンと音を立てて合わさる。




小さいながらも乾杯をして、飲み始めた。




｢ここ、よく来るんですか｣




鉄朗先生に連れてこられたのは、小さな居酒屋だった。




黒を基調とした店内は大人っぽい雰囲気で、少し緊張する。




｢よく来る｣




2人とも最初はジョッキでビールを飲んでいる。




｢鉄朗先生は、酒豪ですか？｣




｢ふっ。鉄朗でいいよ。仕事中じゃないし｣




仕事の時よりも、砕けた感じの喋り方。




少しドキッとしたのは、気のせいだ。




｢なら、鉄朗さんで…｣




｢さん付けか。ま、いいか｣




｢で、酒豪なんですか？｣




｢俺は、うーん。どっちかって言ったら強い、かな｣




強そうだもんな。




｢Aは？｣




｢私は、あんまりです。でも好きです｣




｢へぇ。好き、かぁ｣




呑んでいるせいか、少し優しい口調の鉄朗さん。




静かなこの店内で、2人横に並んで呑んでいる。




おつまみも美味しくて、いいお店だ。




｢A｣




｢なんですか｣




｢慣れた？｣




｢はい。だいぶ慣れました。みんないい子たちでよかったです｣




なんだか優しい雰囲気の鉄朗さんに促されて、すごく丁寧に受け答えをする。




2人同時にジョッキを持った。




なんだか胸がキュッとなった。

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