夕焼け小焼け【緑さんメイン】 (ページ47)

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懺悔３ページ47

昌宏に連れて来られ、不機嫌な和也と潤。
ごろは昌宏に撫でて貰い、嬉しそうにしている。

昌「まったく…いつまでぶーたれてんだ？」
和「…別に、ぶーたれてませんもん。」

頬を膨らませ、唇を尖らせる和也に、昌宏は吹き出した。

昌「ははっ！やっぱりお前らは、まだまだガキだよな。もんって、高校生が言うか？」

クククッと堪えるように笑いながら、空になったグラスに、缶ビールを注ぐ。
テーブルの上には、枝豆やビーフジャーキーといった、所謂おつまみがいっぱいあった。
スェット姿でビールを呑み、枝豆をつまむ姿は、正にオジサン。
これでも、日中は人気カフェの店長。
だが、今は気の良いオジサンだ。
その変わり様に、潤は幾らばかりか面喰らっていた。
目の前の昌宏特製パスタに、フォークをさしたまま、真正面にいる従兄を見つめた。

潤「…別人みてぇ。」
昌「あ？何が？」
潤「兄ちゃん。昼間と別人。」
昌「…あぁ。」

ハハッと笑い、ビールを一口飲む。

昌「そりゃ、そうだ。俺だって、もう良い年だしな。一日の終わりはこうして気ぬかないと、疲れちまう。」
潤「ふぅん…。」

潤はパスタを食べ始め、美味い！と感嘆の声をあげた。

昌「そうか？じゃ、レシピ教えてやるよ。」
潤「え！？良いの？」
昌「おぅ、別に店のレシピじゃねぇし。賄いみたいなもんだしな。」

先程までの表情とは打って変わり、昌宏を見つめる潤の眼差しは、輝いていた。

潤「すげぇな、兄ちゃん。こんなに美味いのに賄いなんてさ。」

それとは反対に、和也は昌宏を睨み付ける。

昌「…どうした？和也。何か言いたいことあるか？」
和「ありまくりですよ。」
昌「何だ？」
和「まーくんのこと、何で黙ってたんです？ていうか、何で行かせたんですか？」

まくしたてるように喋る和也に、昌宏は小さく溜息をついた。

昌「…これが最後だからだよ。」

その言葉に、和也は眉を顰める。

和「…それって、どういうこと？」
昌「どういうことも何も、そのまんまの意味さ。雅紀にとっては、これが最後のチャンスだったんだろうよ。」

やっぱり解らないという風に、和也と潤は目を見合わせる。
そんな二人を見て、昌宏は「やはりお子ちゃまだな。」と内心笑う。

昌「…いいか？雅紀はずっと考えていたんだよ。もう１４年もな。」

昌宏が話したのは、１４年前のあの雷雨の晩のこと。
双子が、今始めて知った事実だった。