夕焼け小焼け【緑さんメイン】 (ページ32)

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理由７ページ32

雅紀は夢を見ていた。

空に一番星が輝き始め、夕焼けと夜空が交錯する頃。
公園で、数人の男の子に囲まれ、幼い自分が踞っている。

やめて…！嘘じゃない！

『そんな何度も風邪ひくなんて、嘘だろ！』
『ずる休み！嘘つき！！』

違う…！本当だよ！

『いいな、学校嫌いだからって、ずる休み出来て！』

学校好きだよ…？！休みたいなんて、本当は思ってないんだよ？

『お前ん家、父ちゃんと母ちゃんが、仕事でいないんだろ？かわいそ～。』

…俺、かわいそうなの？

『いいな、じいちゃんやばあちゃんに、我侭言えて。』
『お前なんて、もう学校来るなよ。』

子供の心無い言葉は、時として凶器になる。
今の雅紀には、ナイフのように突き刺さる思いがした。

「こらっ！何やってんだ！」

『ヤバッ！逃げろ！』

蜘蛛の子を散らすように、男の子達が逃げ出す。
高校の制服を着た青年が、雅紀に駆け寄る。

「大丈夫か？雅紀。」

…ヒック…グスッ…

「よしよし、もう帰ろうな。」

優しく雅紀の砂を払ってやり、背に乗せる。
兄の背に揺られても、雅紀は泣き止まなかった。

「ほら、いつまでも泣くな？雅紀は強い子だろ？」

グスッ…俺、弱いもん…すぐに風邪ひくし…

「…雅紀？身体が弱いからって、別に雅紀が弱いわけじゃない。確かに風邪ひく回数が多いけれど、雅紀はずる休みなんてしないし、我慢してることいっぱいあるのに、我が侭言わないでしょ？雅紀は強い子だよ。兄ちゃんは、そう思う。」

嬉しくて歯痒くて。
大きくて暖かい背中に、顔を埋めるように思い切り抱き着いた。

智兄…大好き…。