夕焼け小焼け【緑さんメイン】 (ページ27)

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理由２ページ27

リビング隣にある階段を降りて、二人の兄が経営しているパン屋へと入る。

翔「あれ、和也。おはよう。」
智「おはよ、どうしたの？」

朝は出勤前の人で混雑するのを、弟三人は知っている。
だから、よっぽどの用事がない限り、この時間帯は店に降りてこない。
今日は朝から雨なので、客もまばらだった。

和也はカウンター内にいた智に、小声で話す。

智「…え？分かった。」

和也が、階段を上がって行く。
その姿を見て、翔が智の元へやってきた。

翔「智君。何かあったの？」
智「…雅紀が熱出したらしい。しかも、40℃近く。」
翔「え？！」
智「とりあえず、雅紀の様子を見てきて？今日はお客さんも少ないし、店はおいらだけで大丈夫だから。」
翔「わかった。」

翔は階段を上がり、雅紀の部屋へと向かった。
部屋には、心配顔の双子がいた。

翔「和、潤。」
潤「あ、翔兄。」
翔「ありがとな。学校行く準備しておいで。」

翔の姿に安心したのか、二人の顔が綻ぶ。

雅「…しょ…ちゃ…俺も…学校、行く。」

高熱で潤んだ目は、今にも泣きそうだった。

潤「さっきから、これの繰り返し。」

理由言わないんだよ、と潤は溜め息をつき、和也と部屋を出る。
翔は、ベッドに腰掛けた。

翔「ん？何かあるのか？課題提出とか。」
雅「…ち…が…ゲホッ！ゲホッゲホッゲホッ！」

一度出た咳は、なかなか治まらない。
翔は、優しく背中を擦る。

翔「よしよし。…とりあえず、今は病院に行こう。どっちにしろ、その様子だと学校には行かせられないし。な？」

雅紀は小さく頷いた。