夕焼け小焼け【緑さんメイン】 (ページ25)

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閑話休題【桃太郎編（黄色さんメイン）】ページ25

昔々、桃太郎という若者がいました。
彼は『桃から生まれた男の子』という、安易な理由で付けられた名前が、嫌でした。
それなりにお金も貯まった、ある日。
『鬼退治に行く』という大喪な理由をつけて、桃太郎は家を出ました。

村外れで、雉と犬と猿の着ぐるみを着た三人に会いました。

翔「桃太郎。」
雅「鬼退治行くの？」
潤「きび団子くれたら、付いてやってもいいぞ？」
和「生憎、僕は桃太郎ではありません。鬼退治に行きません。きび団子なんて持っていません。それに、着ぐるみ集団を連れて歩く気もありません。…まぁ着替えてくれるなら、勝手にどうぞ。」

最後の方は、小声になってしまいましたが、三人は微笑みました。
着替えを済ませ、四人は海を目指します。

船乗り場に着きましたが、鬼ヶ島行きの船はありません。
たまたま近くにいた船頭に言いました。

和「僕は鬼退治に行きたいのです…育ててくれた両親へ、恩返しがしたい。しかし、僕は船酔いしやすいし、鬼退治に行く前にそんな事は面倒くさくて…あの島まで橋を渡してください。」

涙で濡れた可愛い顔に、船頭は堕ちました。
本当の理由が後半部分だけなのを、船頭は気付きません。
隣にいた三人の笑顔は、かなり引きつっています。

船頭は、あっという間に橋を渡してくれました。

和「僕らが渡りきったら、橋を落としてくださいね。」

船頭が涙目で頷き、和也はお得意の笑顔でお礼を言い、橋を渡りました。

島の海岸沿いには、洗濯物が干してあります。
島の中心には、大きな畑があり、その隣に家が一軒。
ドアをノックすると、中から青年が出てきました。

和「こんにちは。」
智「…あ、和ちゃんだ～！」

青年は、嬉しそうに抱き着きました。

翔「どういうこと？」

青年は皆を家に招き入れ、お茶を出しました。

和「まぁ、友達です。発明家の彼のせいで、僕は赤ん坊に戻り、桃の形をした乗り物に誤って閉じ込められ、流され拾われ、今に至ります。」
智「そうなの！だから、和ちゃん探す為に青鬼型ロボット作って、村々を巡ったの。」
雅潤「…そういうこと。」

その後。
言われた通り橋を落とした船頭は、中々戻って来ない四人が、鬼に倒されたのだと思い込み、その噂が村々に広がりました。
それは、桃太郎を育ててくれた両親にも届きましたが、最近鬼も現れなくなったと気付き、悲しいながらも誇らしく思えました。

そんなことを露も知らぬ五人は、この島で仲良く暮らしましたとさ。

めでたしめでたし。