唯一の常識人だと思ってた奴が実はヤバいやつで女だった。 (ページ8)

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七話ページ8

私は軍刀を抜き腹に添える。

「何をしている沢木上等兵。」

「杉元をこちらに連れてきたのは私です。刺青人皮も手に入れられず隊士を殺されたのは私の責任です。どうか切腹させてください。」

「病院に連れて行けと指示したのは私だ。お前が責任をとる必要はない。それに今こんなことをしている暇などない。早く杉元を追うぞ。援護してくれるな？お前の射撃が必要だ。」

「はい！！」

私は急いで部屋にある相棒を肩に担ぎ、馬に乗る。まだそんなに遠くまで行っていないはずだ。
鶴見中尉殿の後を追い馬を走らせると杉元の背中が見えた。
鶴見中尉殿が銃を構える。が、何処からか放たれた矢が馬の足に刺さり、馬が倒れ、鶴見中尉殿が落馬した。

「鶴見中尉殿！！！」

鶴見中尉殿は落馬した瞬間に起き上がり走りだす。どうやら無事のようだ。矢が放たれた方向に目を向けると12歳くらいの子供が弓矢を構えていた。杉元の仲間だろうか。

「子供！？」

だが鶴見中尉殿に仇なすものは子供だろうが容赦はしない。銃を構え頭を狙い撃った。だが風の影響もあり、弾がぶれた。その間に子供はサッと何処かに逃げてしまった。
肝心の杉元はここから全速力で馬を走らせれば背中くらいは見えるかもしれない。だが、私の相棒があれば背中が見えれば十分だろう。

「追いますか？」

「もうよせ、今回は良い」

「はい、わかりました。」

杉元を捕まえることができなかった歯がゆさを持ちながら私は隊と合流した。