唯一の常識人だと思ってた奴が実はヤバいやつで女だった。 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:24,615 hit

三話ページ4

まさかこんな形で憧れの鶴見中尉殿のお部屋にお邪魔するとは思ってもいなかった。
友人の宇佐美に言えばきっと羨ましがられるだろう。
鶴見中尉殿の部屋に入ると部屋の主はいらっしゃらず先にもう来ていたのは鯉登と何故か月島軍曹がいた。

「何で月島軍曹がこんなところにいるんですか？」

「鶴見中尉に呼ばれたんだ」

心底面倒くさそうな口調で言われたが、まあ月島軍曹を介さないと鯉登が鶴見中尉殿と話せないことに原因があるだろう。

「元を正せばA上等兵が悪いんだぞ！」

鯉登がキャンキャンと吠えるように言った。

「先に凶器持ち出したのはそっちだから正当防衛ですよね？月島軍曹」

「お前はどっちの味方なんだ月島ぁ！」

「楽しそうな事をしているなぁ鯉登、A」

「キエーーーーーーーーー！！！」

いつの間にやら部屋に入ってきていた鶴見中尉殿に驚き鯉登が猿叫し、飛び跳ねた。
何故だか鶴見中尉殿の背景に芥子の花が見える。

「鶴見中尉殿今日は誠に申し訳ございませんでした。」

「dhでいwdけけおそお」

「鯉登、何を言っているかわからん」

早口の薩摩弁では伝わらないことをようやく理解したのか鯉登は月島ぁ！と叫び月島の耳元でゴニョゴニョと話す。

「あー今日は、隊を混乱させてしまいましたこと本当にすみませんでした。」

「謝罪が聞きたくてここに呼んだわけではない。お前たちは『不死身の杉元』という名を聞いたことがあるか？」

ふじみのすぎもと？確かに何度か耳にした事があるがそれがどうしたというのだろう。

「負傷した尾形上等兵が『ふじみ』と書いていたことがわかった。」

「はっざまあ」なんて呟いたAを月島がたしなめ、口を挟む。

「その男がどうかしたのです？尾形上等兵の敵討ちでもするのですか？」

「その男が刺青人皮を持っているという情報が入った。不死身の杉元、という異名がつくくらいだから警戒せねばと思ってな。A上等兵には小樽に一緒にきて欲しいんだ。」

私は内心やった！とガッツポーズをしたのだがまたもや鯉登が猿叫をあげた。

「なぜ私が鶴見中尉殿と離れなければならないのでしょう私もついていってはいけないのでしょうか。」

「なあに、すぐに私も帰ってくるさ。それと別に鯉登にはやってもらいたいことがあるんだ。やってくれるな？」

クソ尾形いわく人誑しの笑みで鯉登を黙らせた中尉殿は準備をしてこいと言った。

鶴見中尉殿と旅行なんて本当に楽しみだ。