In the interspace of world and world

S ページ10

こいつらの幸せを
壊そうとする奴らから全力で護る…


今は、それが俺のやるべきことだと胸を張って言える。


しゅぅぅ…と焦げる音が響く地面に降り立つ。

焼け野原には俺とカズと潤だけが残っていた。


…やりすぎたか、と一瞬思ったけど
まぁ問題ないかとそう思うことにした。


カズの方を見れば潤を腕に抱いたまま
ありがとう、とその口が動いた。


腕の中の潤は未だにびくびく、
とその身体を痙攣させていて。

あれだけたくさんの蜘蛛の毒を
もし全て受けたのだとしたら負担は相当なものだろうと
容易に想像はついた。


まだ今日の奴はわりと雑魚だったし
そこまで潤が傷付けられる前に助け出すことができたから
マサキの力ですぐに治るはずだけれど。


…問題はもっと強い妖が潤の妖力を狙うことだ。

ハヤテやセトのような妖が現れたときに
俺らは潤を護れるだろうか。


…もし、サトシのような神様が
潤を狙うようなことがあったら。


妖界では強い妖力を持つ者が比例して強いけれど。

潤の場合は強い妖力に人間、という弱い器。


…この恰好の獲物の存在が知れ渡るのも
時間の問題だろう。


潤の妖力を取り込めば
どんな弱い妖でさえも神様と同等の…
いや、もしかしたらそれ以上の力を
手に入れることになるかもしれないのだから。



…俺たちは、どこまで護ってやれるんだろう。



先の見えない不安と焦りが
俺の中に芽生え始めていた。





end

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