きっとそれはこういう運命【鬼滅の刃】

20話 ページ20

.







『……え？』







「だから、Aの初めて僕に頂戴？」







自分がとんでもない事を言ってしまったと気付いた時にはもう後の祭りで






いつの間にか私の視界には時透の整った顔と白い天井が映っている。









『と、時透！ちょっと待って！！』







抑えられている腕を動かしてもびくともしない。




なに、将棋部って筋トレとかしてるの？？








「何で？僕とだったら幸せなんでしょ？」







確かにそう言ったけどさ…








「それに好きな女の子が目の前にいてそんな事言われたらさ、僕だって我慢出来なくなるよ？」







何かを耐えるような顔の時透に息が詰まる





その顔に冗談ではなく本気で言ってるんだなって思った。








「Aがこの先見ず知らずの、ましてや好きでもない誰かに初めてをあげるのなんて絶対に嫌だ」








『時透……』









「同じ好きじゃないなら僕がほしい」









『…時透は私なんかが初めての相手で良いの？』









本当ならここで止めるべきなんだと思う





形式上付き合っているとは言え中身はこんな曖昧な関係の私達がこれ以上進むべきではないのに









「僕はAが良いんだよ。A以外には興味ない」








真剣な顔でその言葉を聞いて






時透になら良いかなって、そう思ってしまった。









「…Aの初めてもらっていい？」








時透の顔が近付いてきて長い髪がハラッと顔にかかる。









『……うん、時透にならいいよ』









くすぐったさに少し身を捩り時透の首に腕を回し、そのまま深く唇を重ね合わせた。







.

21話＊→←19話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す