佰拾肆話 ページ25
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『…あれ?ここ…』
あの後、炭治郎達と話したり遊んでいたらいつの間にか寝ていたらしい。
誰が運んでくれたんだろう
明日お礼言わなきゃなぁ…
なんだかとても幸せな夢を見ていた気がする。
無一郎にまた抱きしめてもらえた夢
大好きだよって言ってもらえた夢を見た気がする。
でも、本当に夢だったのかな?
匂いや体温がやけに現実的だったような…
…もしかして、無一郎が運んでくれた?
一瞬そう考えて、首を振った。
『(そんな都合の良い話しあるはずないよね…)』
炭治郎に言った通り、無一郎に依存しているのは私の方なんだ。
最近あまり眠れなくなった
食事も喉を通らない
無一郎が隣にいないだけで目に映るものが色褪せて見えてしまう
自分がこんな風になってしまうなんて思わなかった。
『(…本当に情けないな)』
膝を抱えて腕に顔を埋めて目を瞑る
その時、フワッと自分の服から嗅ぎ慣れた、今や懐かしい匂いが鼻孔をくすぐった。
『っ無一郎の匂いだ…じゃあここまで運んでくれたのはやっぱり……』
涙がポロポロと溢れてきた。
夢じゃなかったんだ
無一郎の匂いも体温も夢じゃなかった。
それがとても嬉しくて、また胸がキューッと締め付けられる感覚がした。
「Aちゃんはね、無一郎くんの事が好きなのよ!だから心臓が締め付けられたように痛くなったり、胸がキューってなったりするのよ‼」
「Aは時透君が大好きなんだな」
あの時はあまり分からなかった二人の言葉がストンと胸に落ちた気がした。
『(あぁ、私、無一郎の事が好きなんだ)』
私以外の女性と話していて嫌だと思ったのも
私以外の人に笑いかける無一郎が嫌だったのも
喧嘩して話せなくなって悲しいのも
触れてもらえなくて寂しいのも
全部、無一郎が好きだからなんだ
友達としてじゃなく、一人の男の人として。
『バカだな私…こんな事になってから気付くなんて…』
明日の朝一番に無一郎に謝りに行こう
そう決意して、星を見ようと窓を開けて言葉を失った
─
この時、何で当たり前のように“また明日”が来るなんて思っていたのだろう
鬼殺隊士にそんな保証、ありはしないのに……
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蓮(プロフ) - 涙愛さん» ありがとうございます!!そのお言葉が執筆意欲に繋がります(;ω;) (2021年2月15日 20時) (レス) id: 52dd4b1169 (このIDを非表示/違反報告)
涙愛(プロフ) - 今回も最高でしたッッッ (2021年2月15日 18時) (レス) id: 4db45bcbc3 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 澪華さん» 澪華様にとって尊い展開になれたなら嬉しいです(;ω;)このシーン描いて貰えるかなぁ?なんてニヤニヤしながら書いてました(笑)澪華様の絵楽しみです(*´ω`*)土下座で待機してますね! (2021年2月14日 19時) (レス) id: 52dd4b1169 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 茜さん» コメントありがとうございます!!そして大変お待たせしましたm(_ _)mうちの子が鈍くて鈍くて……。嬉しいお言葉ありがとうございます(;ω;)最後までお付き合いして頂けたら嬉しいです!!! (2021年2月14日 19時) (レス) id: 52dd4b1169 (このIDを非表示/違反報告)
澪華(プロフ) - あああぁぁぁぁ……尊いですうぅぅぅぅぅ……!!!!!!!これは早く痣のシーンを描いて抱き合うシーンを描かないと……!!!!!!!頑張りますね……!!!!!!! (2021年2月14日 19時) (レス) id: 38000b254c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓮 | 作成日時:2021年1月17日 12時