綺麗な2人に (ページ21)

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夢主side

夜中に街灯の下で話しててもあれなので、とりあえず家に呼んだ。
タカちゃんは納得してない顔してたけど。

『はい、どうぞ。』

「ありがとうございます。」

改めて明るいところでお父さんの顔を見ると、
ますますお姉ちゃんがお父さんに似てたんだなって思う。

「あの、葉奈と葉音は？ごめん、何も知らないんだ。」

お母さんたちが死んだのは私が中学二年生、１４歳のころ。
知らなくて当然か。

『死にましたよ。私が１４歳の時に。過労と殺人でした。』

そう淡々と話す私にも驚いていたけど、
大きく目を見開いた後、お父さんの目には涙がたまっていた。

「A、ごめんな。一人でつらい思いをさせたな。ごめんな。」

お父さんは、止まらない涙の間にそう言った。

『いいよ。もう、終わったことだし。今は、幸せだし。』

そう言ってタカちゃんの方を見て笑うと、笑い返してくれた。

「そうか、君が。」

「はい。娘さんとお付き合いさせてもらっています。三ツ谷隆です。」

三ツ谷くんがお父さんの方を向いて頭を下げる。

「これからもAのことをよろしくね。
僕はAと過ごした年月は短いけど、この子がいい子なのは、わかるから。」

お父さんも三ツ谷くんに頭を下げる。こんな光景を見れるとは思ってなかった。

「そういえば、なんで今まで音信不通に？」

三ツ谷くんがそう尋ねる。そういえば、なんでだろう。

「ああ、実は僕の家が結構いいところでね。葉奈とは高校の時に出会ったんだ。

その時、恋をして、お互い自分の家が嫌いだったから、
将来は二人で駆け落ちまがいなことをしようか、って言っていたんだ。

まぁ、そのまま駆け落ちしちゃったんだけどね。
２０歳で葉音が生まれて、２６歳でAが生まれた。

で、お互い２９歳の時、自分の親が僕を連れ戻しに来てね。
戻ってこないとAたちに危害を加えるって脅されたから
仕方なく家に戻ったんだ。

それから結婚もせず、家の仕事に専念してた。
僕は葉奈一筋だからね。

ストーキングをしていたのはごめん。
いざ話しかけようって思うと緊張しちゃって。」

アハハって頬をかくお父さん。
お父さんたちも案外壮大な人生を送っていた。
やっぱ血は争えないね。

気が付いたらもう１０時を過ぎていたので、お父さんと三ツ谷くんは帰っていった。
お父さんのお前で頬にキスをされたのは、とても恥ずかしかった。

自分にも家族がいるとわかって、とても嬉しい日だった。