かえりみち ark ページ12
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「Aちゃんって彼氏とかいるんすか?」
『…は?』
数分前、今日はあらきさんと会えなかったな〜と少しどんよりとした気持ちで帰っていると少し前に彼を発見。全力で追いかけるとまぶしい笑顔をみせて「一緒に帰るかー」と言ってくれた。好き。
そして歩き始めるとあらきさんは突然こう言った。
先輩に対して『は?』と言ってしまったのも今回は許してほしい。
『い、いいいるわけないじゃないですか!いたとしたらあらきさんと一緒に帰りません!』
「ははっ確かにそりゃそうかー」
『なんてことを突然…』
「いやーAちゃんかわいいから普通にいんのかなって思って」
『っかわ、』
突然の爆弾発言に言葉に詰まるとあらきさんは「ん?」と私の方を見た。…こっの、無自覚天然タラシが!そんなところも好きだけど!そんな私の葛藤を知らずにあらきさんは楽しそうにけらけら笑っていた。
『あ、あらきさんって結構恥ずかしいこと言いますよね…』
「えー?そうっすか?」
『そうですよ!ほんともう…』
私は赤い顔を隠すように下を向いて石をポンッと蹴った。本当に無自覚なの?罪過ぎない?
私が心の中で暴れているとあらきさんは突然立ち止まったが私は石を蹴るのに夢中だったので気付かなかった。
「Aちゃん」
『はい!?あれ、どうしたんですか?』
「俺さー、」
『えっちょはっ!?』
急にスタスタと私の方へ向かってきて思わず後ずさりをしてしまうと手首をガッと掴まれあらきさんの方へ引き寄せられる。近距離で向かい合わせになる形になってしまい困惑と恥ずかしさで頭がおかしくなりそうだ。
「Aちゃんだけっすよ、こんなこと言うの」
『…え?』
「そのーかわいいとか、」
『……え?』
真っ直ぐと目を見てそう言われたが脳が追いつかない私。
あらきさんはそんな私を見て「はーー、」とため息をついて頭をガシガシした。
「もう言うわ、俺Aちゃんのことが好き」
『ッえ、』
「だから一緒に帰るしAちゃんに彼氏がいるのか気になったってこと」
突然の告白に頭が真っ白になる。『え、え、ちょっと待ってください』とあらきさんの手から逃れようとしたが「待たない」と握る手を強くされてしまった。待ってそんな強引なところもあるの?好き
「俺と、付き合ってくれませんか」
あらきさんは真剣な顔でそう言った。そんなの、そんなの返事は決まってるじゃん。私はその気持ちに答えるようにあらきさんに抱き着いた。
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作者名:みるる | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/Nagisa-Aonami/?w=1
作成日時:2021年11月28日 19時