雪 ページ24
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『ひゃ〜寒いただいま〜』
「おけーり〜」
肩に付いた雪をササッととって靴を脱ぐ。なるせは少し眠そうな顔をして玄関まで出迎えてくれた。すると私の体についてる雪に驚いたのか「は!?」と声を上げた。…もしかしてさっきまで寝てた?
「まってまって雪降ってんの?」
『すごい降ってるよ!テレビ見てないの?』
「……ガチで怒るのはやめてほしいんだけど、今さっき起きました」
『やっぱり?』
予想的中。思わず笑ってしまうとなるせも照れたように笑った。するとなるせは突然私の頬に手を触れた。冷えていた肌に突然暖かい手を感じてくすぐったい気持ちになる。『どうしたの?』となるせの方を見ると両手で頬を包まれてしまった。
「Aつめたい」
『外寒かったもん なるせの手暖かいね』
「ずっと布団の中いたからね」
『ずるい』
「……何その顔かわいい」
精一杯睨んだつもりだったが逆効果だったらしい。なるせは屈んで一瞬だけキスをした。唇も冷たかったのか「冷たッ」とびっくりした後私の手を引いてリビングまで連れて行った。されるがままにバッグを取られコートを脱がされ、暖房が当たる場所まで連れて行かれた。
「はいAさん座ってくださーい」
『うん?はーい』
「それでもう俺がこうすればAはガチでポカポカです」
『わっ』
なるせは私の後ろから抱きついた。
突然のバッグハグに体温が上がるのがわかる。寒さで耳が赤いことに感謝した。ゆっくりとなるせに寄りかかると嬉しそうに笑った。
「ど?あったかい?」
『あったかい、落ち着く〜』
「耳の色戻ってきた」
『ん、ちょっとくすぐったい』
耳を触られてくすぐったさに身をよじるとなるせは耳に息を吹きかけた。…私が耳弱いの知ってるな?先程と同じように全力で睨むとまた「かわいい」とあしらわれてしまった。こっちは本気で怒ってるのに!
「うわガチで雪降ってんじゃん」
『わ!さっきよりも降ってる』
「Aこんな中外にいたの?強すぎ」
『でしょ〜?もっと褒めなさい』
ピッとなるせがテレビをつけると案の定ニュースは雪についてだった。見慣れない光景を見ながら、なるせは私を振り向かせちゅとキスをした。私が驚くとなるせは少し笑った。
「こういうことじゃないの?」
『ッちがう!』
「そんな真っ赤な顔で言われても説得力ないけどね」
そう言ってなるせはまた笑った。もういっそ雪で顔を冷やしたい、そう思いながら私は顔を隠すように下を向いた。
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作者名:みるる | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/Nagisa-Aonami/?w=1
作成日時:2021年10月17日 0時