花をかき分けてキミに伝える ページ15
夢主 side
「遅いな……」
pk「あ、ごめんなさい。用意してたから先に食べてていいのに」
「ううん。ぴくと君と食べたかったから」
そう言うと、ぴくと君は笑う。
キミはやっぱり……
いや、もう……遅い。
ぴくと君が作ってくれたのはお粥だった。
pk「一応味見したんで大丈夫だとは思うんすけど……ってもう食べてる(笑)」
「美味しそうなんだもん。実際美味しいしね」
pk「そう……なら良かったです」
久しく美味しい物を食べた為、すぐにたいらげてしまった。
ッ…………花、吐きそう……!
「じ、じゃあ戻るね」
pk「はい。また何かあれば呼んでくださいね」
その言葉も聞かずに部屋に飛び込んだ。
pkt side
……やっぱり急いで部屋に戻った。
なんとなく分かってた。
Aさんが飲んでいた薬はそこまで効いてないと。
多分、もう……手遅れなんだろう。
けど、けど……やっぱり諦められない。
僕はAさんが好きだったから。
Aさんの片思いしている人には……悪いけど、諦めきれないよ。
僕は少したってからAさんの自室へ向かう。
「ゲホッケホッゲホッケホッ……ォェ……」
pk「っ……!A、さん!」
「ぴ、くと!君!今、は……」
その言葉も聞かずに部屋の扉を開けた。
部屋は花でたくさんだった。
足の踏み場は幸いある。
pk「な、んで……黙ってたんですか」
「ち、違うの!これは……ォェ……!」
また1つ、また1つ花が吐かれる。
pk「Aさん……少し、お話しませんか?」
「……うん」
pk「僕、Aさんに一度、会いましたよね。12歳頃の時に」
「!……まさ、か」
pk「そうですよ。名前を教えなかった少年は……僕です」
そういうとボロボロと大粒の涙がAさんの頬をつたっていく。
「だからっ……こんなに……親しく、感じたのッ……!?」
「ぴくと君ッ……!」
pk「そうなのかな。僕だって、Aさんと会った気がして……なにかムズムズしてたんすよ」
「ぴくと君ッ……!……ぴくと君ッ……!」
pk「そんなに呼ばなくてもここに居ますから。ずーっと、ずーっと……」
そして、Aさんがまた口を開いた。
「ぴくと君、あのね」
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