送る ページ28
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とはいえ。
Aちゃんと何かあるわけでもなく
その後の仕事でももちろん会えず。
追加した連絡先も何を送ればいいのかわからず意味を成していなかった。
桜の花びらのようにひらひら落ちて
掴めそうなのに掴めない。
「リリー、単独の招待席どうする?芸人らは俺が取っとく?」
「あー…任すわ」
「おおい、被ったら面倒やから言ってんのに」
単独が決まってからバタバタと忙しい最近。
招待席なあ。昔は行きたいって駄々こねる子にしょうがなく席取ったりしてたけど。
べつに俺の周りは観たいとかいう後輩おらんし。
…Aちゃん誘ったら来るんかな。
きっと忙しいよな。
でも…うーん…誘うだけ…ううん…
『単独あるけど来ますか?』
なんか偉そうか?
『単独やるんやけど暇やったら…』
ぽちぽちと打ちながらトーク画面と睨めっこ。
打っては消してを繰り返して指が止まる。
普通に誘うだけなんやけどな。
忙しいやろうから断られてもいいし。
結局最初の文章でAちゃんにメッセージを送った。
すぐに既読になって、俺の悩みに悩んだテンションとの差がすごいなと軽くヘコんで、数分前まで断られてもいいとか思っとったのに
『その日仕事や〜』
という返事で更にヘコんだ。
いやでもAちゃんが来ないと思えば気が楽というか
誘ったくせに何を言うとんのかわからんけど。
結局俺は誰も招待はせず。
本当に呼びたい人、Aちゃんだけなんやなあと笑えた。
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作者名:ぴぴ | 作成日時:2023年3月13日 14時