LOVELAND,IS LAND

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あれから
完治した盛山さんはもちろん来院しなくなった。
そりゃ、何度もきてたら、歯磨きしてます？って心配になるけど。


あの日
盛山さんに偶然たこ焼き屋さんで会えてよかった。

会えないであのまま微妙な感じだったら、仕事の忙しさで忘れていても
何かにつけては思い出して、私はもやもやしていたと思う。






今日は少し残業してしまった。

仕事を終えて、外に出ると春先の空気は暖かいけど吹く風に少し寒さを感じる。

その風に乗ってふんわりまた、あの香ばしいソースの香り。

盛山さんに会ったたこ焼き屋さん。
持って帰って食べようかなあ、なんて思い立って
店先の持ち帰り専用の小窓を叩いた。


「バター醤油味お願いします〜」


盛山さんに勧められた味で美味しいかと言われれば…微妙な所だけどせっかくだし頼んでみた。




持ち帰って、部屋で1人パクリと口にすればあの日のことをじわじわと思い出して
深く考える前にまたパクリ。


私は盛山さんが気になっている。

オブラートに包まない言い方だと「好き」なんだと思う。



またこれも深く考える前にたこ焼きを口に頬張る。

美味しかったら美味しい〜って気持ちで頭の中は埋め尽くされるけど、バター醤油という微妙な味がそうはさせてくれなかった。



…好きだな、多分、私、盛山さん。

うん、好きだ。


うまくまとまらないけど、大体好きな人ができる時ってこういう感じだ。

会話とか表情とか1人で思い返して反芻していくうちにどんどん好きな気持ちが私のなかで成長していく感じ。

でも、ブレーキを掛けようと思ってしまうのは盛山さんが芸人さんだということ。
そもそも叶うような恋ではないのではないか。

やっぱり、芸人さんって知らない方がよかった。
アホみたいに恋に恋するような楽しい期間がない恋愛をした事がないからどうする事も私にはできないのだ。



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