【男主】イタミシラズ【東京喰種】

21.旋回 ページ21

___Aが夢の中で赫子のぶつかり合う音を聞いたのは、夢ではなく現実だった。

月山の赫子と、少女の赫子がぶつかり合う音。


だがそれは、眠りの浅かったAが夢を見ていた時のこと。
完全な深い眠りに落ちた頃には、その勝負はついていた。


月山は片腕がとれ顔は深く傷ついていた。

一方、少女は浅い傷。

…月山の負けだった。


月山)カネ…き…くん…後生だ…とくち…
…ひと…ち…


ﾄﾞﾝ…

少女に更に攻撃を加えられ、月山は倒れた。


少女)テメェの肉でも喰ってろよ、クソ美食家(ｸﾞﾙﾒ)


それから少女は貴未という女を殺そうとするが貴未の少女に対する「綺麗…」という言葉により殺すことが出来なかった。

教会を出て行ってしまう。


その場に残されたのは、西尾錦と恋人の貴未、金木研、そしてA。


月山は全く動かない。

西尾は月山からの攻撃により意識はなく、貴未は人間で喰種ほどの力はない。
Aにおいては随分前から催眠薬により気を失っていた。


つまり、まともに動けるのは金木のみ。


金木)…この状況は、どうすれば…

取り敢えず西尾においてはすぐに助けないと死んでしまう可能性がある。

何かこの状況をどうにかする方法がないかと金木が周囲を見渡すと、もう１人倒れているのをようやく認識した。

Aだ。



金木)だ、大丈夫ですか…？

返事がない。
月山が原因であるのは分かるが、もしこのまま放っておいて死んでしまったら罪悪感が残ってしまう。


金木はしばらくAを見つめる。

金木)(随分小柄だな…この子なら僕でもあんていくへ運べそうだ…。)


貴未)あの…


金木)は、はい！

貴未)錦くんは…私が担いでいきます。


金木)ぇ、大丈夫なんですか？

貴未)はい。私がそうしたいんです。
金木くんは…その人、どうするんですか？


その人、と言いながらAを指差す貴未。


金木)…(喰種レストランでの事、色々聞きたいし…)…この子は僕が背負います。

あんていくへ行ってみましょう。 …西尾さんも回復できるかも。


貴未)！ ありがとう金木くん…




しばらくして金木、A、西尾、貴未の４人は、教会を出る。

…月山の手がピクリと動いたのを知らずに。

22.喫茶→←20.夢中

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す