3.目玉 ページ3
解体屋の控えで“お父さん”を待っている間、俺は1人で考え事をしていた。
俺、今まで何人のヒトを解体してきたんだろ?
さっきの人、レストランに連れてこられるまでは幸せ?だったのかな。
解体される事が分かるまでは、ここが喰種の集うレストランであると分かるまでは。
この後運ばれてくるであろうヒトの料理を楽しみに想像していたのかな。
あのヒトに…
家族、は居たのかな?
あぁぁ、考え出したらキリが無い。
頭と胸が痛くなってきた。
A)うぅ…ぅ"…
サエギリ)A?
A)! …おと、さん。 おかえりなさい。
サエギリ)あぁ、ただいま。 今日も君は綺麗だったよA。
今回もショーは最高だった、特にあの人間の頭を床に叩きつけた瞬間が良かった…。
___それは、あのヒトが死ぬきっかけになったやつだよ、オトウサン。
…死ってそんな微笑みながら語れるものなんだね、オトウサン。
でも、俺は胸が痛くてわらえないよ。
サエギリ)どうした? 顔色が悪い…。
A)考え事、をしてただけです。
サエギリ)そうなんだね、なら良い。
…それと今回の報酬だよ、食べなさい。
コロコロ…
転がってきたのは目玉。ヒトの。
サエギリ)さっきお前が解体したヤツのだ。
目玉は今回食材に使わなかったんだと。
コロコロ…
ヒトの目玉と視線が合う。
__ショーの前までは生き生きとしていたハズの目玉は、時間のたった今では生気は失われ、暗く淀んだ墨色をしていた。
目玉と見つめあっている内に吐きそうになった。
うぅ、何か気持ち悪い、解体してる時は死ねよとか思ってたのに、今は気持ち悪い。
けど、食べなくちゃ。
これでしばらくは体力保たなきゃいけないんだから。
__サエギリ…オトウサン、は食事をあまりくれない。
お腹が空いても、口には出して言えない。
__昔、お腹すいたって呟いた事がある。
そしたら微笑んで、ならコレを喰べなさい、って言って。
俺の指を口にくわえ舐めだした。最初はくすぐったくて、身を捩っていた。
これがオトウサンのすることなのかな?愛情ってこれかな?
って思った。
次の瞬間。
ぎち… ぶちっ。
「あ"ぁあぁっ!!!ぎっ!あぁ…!」
指を噛みちぎられた。俺のを。
「…次、ワガママ言ったらもっと酷い仕置きするからね。」
結局あの日オトウサンは食事をくれなくて、俺は自分の指を喰べたんだっけ。
_俺は目玉を喰べ終えた。
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セトミナト(プロフ) - K・Mさん» 四方さんは芳村さんと大抵一緒に居るイメージだったので…!ありがとうございます、頑張ります! (2015年9月5日 21時) (レス) id: 4c9d5d3e45 (このIDを非表示/違反報告)
K・M - まさか四方さんもいるとは・・・。続きが楽しみです。これからも更新頑張ってください (2015年9月5日 21時) (レス) id: 6b3a0c3161 (このIDを非表示/違反報告)
セトミナト(プロフ) - K・Mさん» もうすぐ見れると思います!ありがとうございます、更新頑張ります!!^ ^ (2015年9月3日 7時) (レス) id: 4c9d5d3e45 (このIDを非表示/違反報告)
K・M - 早く夢主と金木の絡みが見たい!更新頑張ってください! (2015年9月2日 21時) (レス) id: 6b3a0c3161 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セトミナト | 作成日時:2015年8月16日 22時