キミと月明かり (ページ6)

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味方でございますページ6

〔俺たちの話を盗み聞きって君は悪い子だ。〕

「えっ...いやっ。」

〔君も聞くかい？〕

二宮くんを見るとそっぽ向いたまま。
首を横に振り部屋に戻る。

〈お嬢様。どうかされましたか？〉

廊下ですれ違っただけだのに
話しかけられるの。もう1人になりたい。
こんな窮屈な家にいるなら私はお父さんと
お母さんと暮らしていたあの家に戻りたい。

〈お嬢様？〉

荷物をまとめてこの邸から出て行った。
もうやだ！もううんざり。

着いた頃にはもう辺りは真っ暗。
久しぶりの我が家。電気なんて通っていない。
暗くあまりにも静かだったから近所の優しい
おじさんの家に上がらせてもらった。

「それがこーんな大きな家でね。こーんな

広い部屋な訳。」

〝そりゃ、ヤダね。おじさんならAと

同じことしてたよ。よく戻ってきた〟

「おじさん。当分いていい？

何でもするから。私をここに置いて。」

〝それはいいけどだな...うん！

少しの間なら〟

数日後、私の知らないところで。

〈自宅には戻っていないみたいですね。〉

〝櫻井。何をしている。早くお嬢様を

見つけ出しなさい。お嬢様にもしものことが

あったらクビだぞ〟

〈はい...〉

それから1週間が経った。
1度家に戻り、お母さんがいつもつけていた
ネックレスを首から下げ家を出ると

〈お嬢様。〉

「櫻井さん。どうしてここに。」

〈家に戻ってこられなかったので。〉

「私もう帰らないから。うんざりなのよ。」

〈...そうですか。失礼ながらお嬢様がそう

仰るのであれば私は引き止めはしません。

ですが、１つだけそろそろ前を向いて歩いては

いかがですか。ご両親もきっとそう願ってます。〉

「だけど。あの家、二宮くんしかいないし。

寂しいし。」

〈私も24時間、365日います。

そしていつどんな時でもお嬢様の味方でございま

す。寂しい想いがあるならこの櫻井にご相談を

これでも執事学校トップの成績で卒業しました。〉

仕方なく帰ることにした。

「櫻井さんっていつから二宮くんの執事？」

〈坊ちゃんが中学上がると同時です。

どうしてそんなことお聞きに？〉

「いえ、櫻井さんみたいな人に出会ったの

初めてだから。櫻井さんこれからもよろしく

お願いします。」

〈こちらこそよろしくお願いします。〉

ルームミラーからみえる表情は
爽やかでカッコいい櫻井さんだった。