キミと月明かり (ページ43)

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雨降って地固まるページ43

「二宮くん、ここはね。仕事をしに来る場所で

遊びに来る場所ではないの。」

『でも、俺は！』

「二宮くん。もう帰って。」

その言葉で俺は拗ねた。
ただAのことが気になっただけなのに
どうして俺が悪いわように言われなきゃいけないの。

あてもなく街を歩いていた。
すると、強面の男たちに絡まれてしまった。

〝おい、兄ちゃん〟

『なんですか？』

〝金くれや〟

体を触られるけどお金なんて...

〝小銭しかねえんか〟

そんな俺を殴りつける。
倒れる俺は自力で立てずにいた。

『A...A...』

立つ勇気なんてなかった。
いつも隣にはAがいて俺を助けて支えてくれる。

涙が出そうだ。
情けねえよ。

『早く帰らないと...』

「二宮くん！二宮くん！」

遠くから呼ぶ声。
どんどん近づいてくる。

「二宮くん！」

『A...』

「どうしたの。その傷。」

『ちょっと転んでさ。』

「立てる？」

『自分で立てるよ...』

「ねぇ、なんか怒ってる？」

『怒ってないよ。怒ってなんかない...』

「うん、わかった！じゃ早く帰って傷の手当て

しないとね。」

いつだって優しいから

『記憶がなくなる前、俺が好きだった人って

A？』

すると、にっこり微笑みながら、

「そうだよ。」

何事もなかったように
家に帰って行った。