重い先輩と心配しすぎな後輩

67 ページ24

岩「落ち着いた？」


照くんの大きくて暖かい手が背中をさすってくれたからか、段々と気持ちも落ち着いてきたと思う。


「はぁ…うん、ごめん」

岩「…A」

「なに？」

岩「無理してないか？」


眉を下げながら尋ねられる。
恐らく、辰哉くんとお付き合いをする中でなにか無理はしてないかという意味合いなんだろうなぁ。


「…してないよ」

岩「嘘ついてない？」

「…うん」

岩「じゃあなんでそんな苦しそうな顔をしてるの？」


そんなつもりはなかった。
…過呼吸になりそうになったけど、辰哉くんのことが嫌いということでは無い。

ただ…さっきの辰哉くんはいつもの辰哉くんじゃないから戸惑ったという感じだと思う。

あんなに独占欲が強くて、照くんたちを威嚇する辰哉くんは…見たことがなかったから。


「苦しそうな顔してた？でも大丈夫だよ？」

岩「…それは今もふっかがこの会話を聞けるから嘘ついてるわけじゃなく？」

「ついてないよ、確かに威嚇するみたいな辰哉くんは初めてみたけどねw」

岩「…信じるよ、でもなんかあったら言いなよ？ふっかが冷静に判断できないようなときには特になw」

「ありがとう…」

岩「あとさ…」


続けて照くんが何かを話そうとしていると。

屋上のドアが開く音が聞こえた。


深「Aちゃんっ！」


辰哉くんが走ってこちらに近づいてきた。
目の前につけば、勢いよく両肩を掴まれる。

…あれ、辰哉くんの目…なんかウルウルしてる…？
よく見れば頬には濡れたような痕も。


「たつやくん…泣いたの？」

深「っ…よかった…」


私の顔をみて安心したのかギュゥゥと抱きしめられる。


深「Aちゃん、ねぇ、Aちゃん…」


首元に顔を埋めながらまるで…縋り付くみたいに名前を呼ばれる。


深「ごめんねぇ…うっ…」

「たつやくん…」

深「お願い…俺の傍から…離れないでぇ…」

「えっ…」

深「おれを…っ、ひとりに…しない、れぇ…」

岩「ふっか…」

深「ひがるぅ…おねがい…おれから…Aちゃんを…とり、あげないでぇ…」


なぜこの人は…こんなにも不安を感じてしまうんだろうか。

68→←66（Fukazawa side）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す