アイビー (ページ17)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:20,856 hit

② ページ17

【Aside】

あの公園へとやってきた。
予想通り、すでにひろくんの姿が。
私に気づくと優しく微笑んで、近くまで歩いてきた。

「ひろくん…大丈夫なの？」

ずっと心配だった。
具合が悪いんじゃないか、何か嫌なことがあったんじゃないか、私の事…嫌いになったんじゃないかって。

『A…』

「ひ、ひろくん？」

ど、どういうこと…？
なんで私は今ひろくんに抱きしめられてるの…？
なんでひろくんの身体は震えているの…？

『ずっと…会いたくて…会いたくて…。』

震えながら答えるひろくん。
でも私はなにか違和感を覚えた。

「ひろくん、こっち向いて？」

そういうと、ひろくんは私の顔をみる。
そのひろくんの顔をじっと見つめてみる。
うん…やっぱり違う。
私の知っているひろくんは…目の下にクマは存在しない。
目もこんなに虚ろな感じじゃない。
それに…会いたいと思ってくれたなら、すぐに会うタイプだと私は思ってる。
こんなに時間をかけないはず。

「あなたは…だれ？」

私はそう口にしてしまった。
気づいた時にはもう遅かった。

『え…？僕は…僕だよ…？何を…言っているの…？Aのことが…大好きな…僕だよ…？』

話し方がいつものハキハキとした感じじゃないのは…どうして？

「違う…。あなたはひろくんであってひろくんじゃ…ない…。」

『僕は…僕…。Aを…心から愛している…僕だよ…♪ねぇ…知ってる…？僕が…Aを守るために…Aをいじめた…あいつらに…制裁を…加えたんだよ…♪』

えっ…？
でもあれは…ひろくんは記憶が無いって…。
どういうこと…？

『僕はね…もう1人の…ひろなの…。普段のひろは…Aがよく知る…ひろ…。僕は…ひろと…Aを…守るためにだけ…存在しているの…。』

それって…。

「解離性同一性人格障害…つまり多重人格…？」

恐る恐る尋ねてみる。
ひろくんは『そうだよ…♪』と答えた。