･ ページ24
「…今マリカーの打ち合わせしてるんじゃないの？」
何やら3階の会議室が騒がしい。どすどすどんどん、何が暴れ回っているのやら。
…少しだけ覗いてみるか。
そう思ってドアノブに手を掛けた瞬間──
「──おまえはアイツのこと何もわかってねえだろうがｯ！！」
葛葉の叫びが聞こえた。
「確かに俺がもう少し早く行ってれば、寝過ごしてなければアイツの両親は死んでなかった、アイツが独りで生きていくことはなかった！」
…だ、誰と話してるの……
「…だがアイツの両親を殺したのは誰だ？まさかリッパーのひとりとは思わなかったよ。はっ、いい機会もらったかもな、」
【リッパー】という単語が聞こえた。
次の瞬間には無意識のうちに扉を開け放っていた。
「統括！？」「凛さん！？」
人間の姿のまま部屋に入り、葛葉の横に並ぶ。
目の前には黒いシルクハット、黒いロングコートを身につけた全身黒の男とそれを守るように取り囲む魔物たち。床に散っている血の花。
おそらく葛葉が魔物から皆を守っていたのだろう。
『誰だ』
目の前の男がノイズ混じりの声を発する。
その質問にすぐには答えず、魔力を解放した。
腰まで銀髪が伸び、瞳は瑠璃色に染まる。私は男を睨みつけた。
「ウィント家が長女、現当主の、ローレラット・ウィント。以後お見知り置きを」
『…何故魔界でまだ上位貴族でいる。ラグーザ家の贔屓か』
「贔屓だと思ってんのか」
葛葉──サーシャが荒々しく吐き捨てた。
『実際魔界ではおまえの地位に文句を言っている奴もいる。何故ひとりしかいないウィント家が上位貴族のままなのかと』
「…じゃあ何故未だ上位貴族でいると思う？」
質問を質問で返すと男はまた質問を返してきた。
『わからない。贔屓だとしか思えない』
「…確かに昔からラグーザ家とウィント家は仲いいよ。だけどそれは贔屓に繋がらない。ウィント家の力が弱まっても尚、ラグーザ家がコイツと綿密に付き合っている理由……」
葛葉は普通の人間なら息苦しさを覚えるほどの威圧を振りまきながら言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みかん(プロフ) - konayuki2222222さん» ありがとうございます！；； (2021年3月9日 13時) (
レス) id: 644a994c78 (このIDを非表示/違反報告)
konayuki2222222(プロフ) - とてもいいおはなしです！！最高です！(*｀ω´)b (2021年3月8日 23時) (レス) id: f927dca413 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 伊織さん» わあああコメントありがとうございます！！；；完結したら続編書こうと思います。リクエスト募集するつもりなのでよかったらお願いします〜 (2021年3月7日 23時) (レス) id: 644a994c78 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 続編希望です！応援しています！！頑張ってください！！ (2021年3月7日 20時) (レス) id: d1ffabcbb6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みかん | 作成日時：2021年3月5日 7時
