observer/IF (ページ3)

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奇病IF/③ ページ3

眠らせた当の本人は俺が起きた事に
気づきもせず紙面にペンを走らせていた。
すぐ横に目をやると箪笥の上には
懐かしい写真と、今朝見た花弁の花。
微笑ましく思う。花も姉のマーシャに
ピッタリだ。
「…ルー。」
ルーシャスの肩をトントンと叩く。
「ん…アレ！？！いつの間に起きてたの！？」
集中力は天下一品だな。
手元の書類をチラッとみると
経費やら会議やら…学会関連の物だった。
「お前も大変だな。」
同情する。
「あ、そうだ。この花、綺麗だな。」
それを聞くとルーシャスはニッコリと笑った。
「素敵でしょ？それ。君の誕生花なんだぁ。」
「えっ」
てっきりマーシャを考えて買ったのかと
思っていた。
…俺の誕生花…？
「ジル君みたいに可愛でしょ？」
微笑むルーシャス。
「俺みたいに、は余計だ。」
それでも幸せそうに微笑むルーシャスを
咎める事は出来なかった。
「ジル君。」
椅子を回転させ俺の方に体を向けた。
「おいで。」
ルーシャスは座ったまま両手を広げ
俺を招いた。
渋るも、ルーシャスは立ち上がる気が
無いらしく手で俺を催促してきた。
「仕方ないな…」
椅子に座ったルーシャスに身を任せ
抱きつく。
「へへ。」
顔を赤らめながら満足げに笑っていた。
手を首の後ろに回し抱きしめる…が、
指先に何かが当たる。
「ん…？」
見てみるとそこには花…
俺の誕生花があった。
「ルー。首の後ろにも花が入り込んでるぞ。」
一言伝えると、取って～と強請られた。
やれやれと思いながらその花を掴んだ。
「…」
取れない…？
まるで固定されてるかの様に…
グイグイと引っ張ってみる。
「な、にしてるの？」
違和感からかルーシャスの声が震える。
「いや…取れなくて」
そのままグイッと思いっきり引っ張った。
「ッツ゛！！！！」
ルーシャスから小さな悲鳴が上がった。
と共に手元にある花に目を向ける。
「んだ…これ…」
花の底からは根が生えていた。
その根は…ルーの首の…その花があった場所、
傷口から続いていた。
根と、ルーシャスの血が絡まり合う。
「い゛ッだ…じ、じるくん…？？」
相当痛かったのか涙目でこちらを見つめる
ルーシャス。
「わ、悪い…けど、何だ、これ…」
理解ができない。
ルーシャスの首から花が生えている…？
血を吸って？？
一先ず、不気味さにその花の根を
ルーシャスから抜ききる。
「ゔっ…」
「我慢しろ。」
ズルズルとルーシャスの首から根が出てくる。
驚きを隠せなかった。