誰かこのトキメキを止めてくれ

私には甘過ぎた/fkr ページ1

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「Aちゃん、ほら起きて」

「...ん、」


心地よくて優しい声に目を覚ますと、賑やかだったオフィスには私たち以外誰の姿も無かった。目の前には福良さん。気付かないうちに福良さんの肩に凭れて寝てしまっていたようで。無意識にそんなことをしていた、なんて考えると恥ずかしくて顔に熱が集まる。普通女の子なら彼氏と2人きりなんてシチュエーションにキュンキュンするのは当然のことなのに、どうしてもこの柔らかくて甘い雰囲気を纏ったこの空間にいることが耐えられない。それは、私から見て“彼氏”という立場の福良さん相手であっても同じで。


「ごめんなさい、肩借りてしまって...」

「いいのいいの」


本当はもっと甘えてくれてもいいんだけどね、なんて付け加えて笑う福良さんは少し意地悪だ。


「女の子ひとりじゃ危ないから帰るなら送ってくよ？」

「...じ、じゃあお言葉に甘えて」


外に出ると冷たい風が頬を撫でる。暦上では春で、実際春に近づいてきている、とはいえ夜は寒い。そんなときに寒いでしょ、ほら、と手を差し伸べられたらますます好きになってしまう。これ以上惚れさせないで欲しい。


「寝顔可愛かったなぁ」

「やめてください...」

「そうやって照れてるのも可愛いよね」

「うぅ、しんじゃう、」


今の私は暗闇でもわかる位に顔が赤くなっていると思う。福良さんってこんなに甘い人じゃなかったはずなんだけど...？なんて考える隙すら与えてくれないくらい甘い彼。でも、多分こんな彼が見れるのは私だけだろうと優越感に浸るのもいいかな、なんて。


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( 糖分過多で病気になったらどうしてくれるんだ )





3/2 fkr


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