言ってなかっただけ JK [BTS] (ページ9)

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A

視界が一瞬で一変した

反射的に受け身をとれた自分をほめてあげたい

初めてのことではないが

まあ、慣れるわけがない

こんなこと

私の悲鳴声は周りのメンバーやスタッフを振り向かせるには十分なくらい響いた

周りは驚いたようにざわついたがすぐに笑い声に変わった

メイクさんはこの世の終わりみたいな表情をして頭を抱えた

くそー

こんなところで担がれるとは

ARMY(アメリカ陸軍)出身のリアムは

特殊な訓練？のせいかだっこやおんぶではなく

彼の広い肩に担ぐということしか知らないようだ

恥ずかしさといらだちで今にも消えてしまいたいくらいだ

こんなふうに注目されたくない

汚い言葉を吐き捨てるようにボソッと言ったら

聞こえたらしく、おしりをたたかれた

彼の背中に手を押し当てて腕で上半身を支えてないと漏れそうになる

あーもー

ふくれっつらをあげた瞬間

目を見開き、口をあんぐりと開けた

驚き顔のハンサムと目があった

スローモーションのように

ただ私の視界のピントは彼だけに合って

背景だけがゆっくりと変わっていき

私と彼との距離を引き離した

ついうっとりと見つめてしまった

体感的には何十秒も見つめていたと思う

目が離せなかったと言った方が正しいかも

うああ

あんなに目を見開いて口をああやって開けててもかっこよく見えるってなに？？？

私がやってたらただのアホズラをさらすだけだ、

笑いものになるに違いない

なのにイケメンってずるい、

どんな表情でも人をうっとりさせる力があるなんて

お腹の下辺りが甘くきゅーっとなった

甘く？？？

今まで感じたことの無い感覚で

戸惑った、なにこれ？

喉はカラカラだし、

息をするのを忘れてたせいかくるしい

どうにか自分を取り戻す頃には

目的地に着いていて

トイレの前で慎重にゆっくりと下ろされた

逃げるようにトイレに駆け込んだ

赤面しているであろう顔を隠すために、

無事にことを済ませ

手を洗った

冷たい水がほてった私を冷やした

心地よい冷たさで

いくぶん落ち着いた

まだ乱れた呼吸を落ち着かせるように

深呼吸をして

大丈夫と言い聞かせ、鏡に映る自分に微笑んだ