【HQ!!】逆向きの下心。【及川徹】-完-

#17 ページ17

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及川「ふぅ…。」





深呼吸をし、自分を落ち着かせる。





周りを見て、



いつも通りに。





大丈夫、みんないる。





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溝口「及川！」



及川「はーい」





アップ中、溝口くんに呼ばれた。





溝口「昨日なんかあったのか？」



及川「今日も、変ですか？」



溝口「いや、今日はいつも通りにみえるが、昨日明らかに変だったからな」



及川「全然大丈夫ですよ〜」





なんて笑ってやり過ごした。





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青城「よろしくお願いしゃーっす！」



白鳥沢「お願いしゃーっす！」





試合開始。





無事最初から出させてもらい、順調に試合を進める。





両者取って取られての接戦だった。





＿＿＿ピリッ


一瞬、肘に軽い痛みが出て、岩ちゃんに上げるトスが低くなってしまった。





岩泉「及川トスもうちょい高くてもいける」



及川「わかった、ごめん」





いやでもあの一瞬だけだったし、




ちょっとなんかあっただけ…。





大丈夫。





そして白鳥沢が20点台にのった時、



Aが俺を交代させるように監督に申し出たらしかった。





矢巾が「１」の番号が書かれた札を持っていた。





及川「っ…！」



天童「え〜交代？」



花巻「え？今日悪くなくね？」



松川「普通だよな」



岩泉「ああ、」





Aに一瞬の変化を見られた、って





それくらいしか心当たりがない。





ベンチに座ると、Aは救急セットを持って俺の隣に座った。





『どこが痛いん？』



及川「え？」



『え？ちゃうねん。肩か肘かその変痛めてるやろ？』



及川「…肘、かな」



『大丈夫？』



及川「一瞬ピリッてきたくらいだから大丈夫だとは思うけど」



『腫れては無いねんな』



及川「うん」



『変やと思うたらすぐ言い言うとるやろ』



及川「Aにいいとこ見せたかったんだよ」



『とお…る……』





俺の肘を細い指で持ちながらAは俺の目を見る。





及川「昨日約束したじゃん」



『そうやけど…』





我に返ったようにAはバンテリンを俺の肘に塗る。






及川「ちゃんと見ててよ？」



『見とるから痛めてるのに気付いたんや』



及川「え、それって…」



『昨日変やったし、アンタのバレー好きやからな』





俺とAの好きの種類が違う。





それが肘の痛みよりも痛く感じた。





＊

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