Epilogue of "One Kiss" ページ49
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「
「ちょっとまってー!わすれもの!」
そう言ってばたばたと何かを取りに行く七光。
「置いていっちゃうよ〜?」
「まって!水筒わすれたの!」
同じようにばたばたと戻ってくる七光の頭を撫でる。
「じゃあ行こうか」
手をつないで、扉を開ける。
・
あの日、夜が明けるとやはりミツは隣にいなかった。休みじゃないのに明け方まで私といて、本当に馬鹿。
だけど、書き置きひとつ残さないで行ってくれたのはミツなりの優しさだと思った。今までの思い出も全部、あの部屋に閉じ込めて私は九州の小さな町に引っ越した。
新しい仕事も部屋も見つかっていたから、心機一転この場所でゼロから始めようと思っていた。
そんな矢先に、七光を授かっていたことが分かった。こんなところまで、ミツは一緒だった。
産むか堕ろすか、何度も考えた。産めば、産んだ子を見るたびにミツのことを思い出して泣いてしまうかもしれない。じゃあ堕ろしたとしたら…?一生後悔して、いつか傷も後悔も忘れて…
そこまで考えて、思い出して泣くよりずっと、思い出せないことの方が怖いと思った。
七光は、私たちの最後の希望だ。
「おかーさん!いってきまーす!!」
目元も、口元も、その笑った顔も、ミツによく似てる。
まぶしいくらいに輝く笑顔は、私の宝物。
「いってらっしゃい!」
今日もまだ、あなたのそばに。
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作者名:わ! | 作者ホームページ:http://twitter.com/mi2_lxxx
作成日時:2018年10月18日 14時