あざとい彼 ページ33
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A「え？ほんとに私？」
マネージャーさんの発言に驚く。
あれ？この言葉つい最近も言った気がする。
阿部「大丈夫だよ。緊張しないで。」
A「阿部ちゃん…。」
マネージャーさんの発言から1週間後。
私と阿部ちゃんは楽屋で二人、収録開始を待っていた。
今日は阿部ちゃんがレギュラーのクイズ番組にゲストという形で出演する。
この数日間勉強をしてきたがそれでも不安でいっぱいだ。
A「どうしよう不甲斐ない結果だったら。放送出来ないかも。」
阿部「大丈夫だって！」
不安な私とは裏腹に阿部ちゃんはずっと笑顔で肯定してくれる。
阿部「AはSnow Manの中では頭良い方だから大丈夫だよ。」
A「比べる人が間違ってる気がする。」
阿部「確かに！！」
あ、ブラック阿部ちゃん出てる。
笑いながらも阿部ちゃんの視線の先にはテキストがあった。
頭が良いのにこうやってギリギリまでちゃんと勉強して本当に偉いなぁ。
私もマネするように阿部ちゃんに借りた本を見る。
カタカナがいっぱいで頭パンクしそう。
あ、ここの問題文章読んでもよくわからないんだよね。
阿部「何？お困りごと？」
A「わからないところがあります。」
阿部「どれどれ。」
そう言って隣に移動し私の手元にある本を覗き込む阿部ちゃん。
正直かなり距離が近い。
阿部ちゃんってあざといし、こういうこと誰にでも出来るのかな？
阿部「って、A聞いてる？」
A「あ、聞いてなかった。」
阿部「もう！何考えてたの？」
A「阿部ちゃんのこと。」
無意識に出た言葉に自分でびっくりする。
もちろん阿部ちゃんもビックリした表情をしているが、真顔に戻ったかと思うと顔がいきなり近づいてきた。
阿部「俺のこと、考えてくれてたの？」
至近距離で、甘い声で、そんなことを言われて普通でいられるわけがない。
私は勢いよく立ち上がった。
A「今のは忘れて！」
「トイレ！」それだけ言い残して私は楽屋を出た。
お手洗いに行って少し冷静になってから楽屋へと戻る。
ゆっくり扉を開けると阿部ちゃんは元いた席に戻っていた。
A「…戻りました。」
阿部「おかえり。」
さっきまでのことはなかったように普通に接してくる。
席に戻っても阿部ちゃんは変わらずテキストを読んでるし、さっきのは夢？と思えるような感覚に陥る。
阿部「さっきのA可愛かったよ。」
前言撤回。やっぱりこの人あざといです。
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作者名：迷子のフクロウ | 作成日時：2022年12月17日 20時
